Zuora【NYSE:ZUO】サブスクリプションビジネス支援プラットフォームSaaS

Zuora

Zuora【NYSE:ZUO】
Zuora(ズオラ)は企業のサブスクリプション・ビジネスを支援する包括的プラットフォームを提供するSaaSベンダー。

サブスクリプション(継続課金)型ビジネスモデルを採用する企業向けのプラットフォームであるSubscription Relationship Management(SRM)を提供。

Zuoraはサブスクリプション・エコノミーを提唱している草分け的存在で、サブスクリプション・エコノミーについては以下で解説している。

サブスクリプション・エコノミーとは? Subscription=継続課金 従来の売るまでを重視する商品売り切り型と違い、継続課金...

サブスクリプション経済という、所有からサービスとしての利用へシフトしていく時代にフィットしたサブスクリプションビジネスのために必要な上流から下流まで全ての業務をシングル・プラットフォーム上で提供

主にサブスクリプションが売上高の大半を占めるが、ビジネス全体に関わるミッションクリティカルなサービスだけに「サブスクリプション導入を成功させるためのプロフェッショナルサービス事業」の比率もそれなり。

相変わらずフリーキャッシュフローはマイナスだが、かなり拡大にアクセルをふみこんでいる感じだ。

売上ベースのリテンションレート(既存顧客維持率)も年々上昇しており、解約を上回るアップセルがきいている。

Zuora-ACV

Zuoraが提供するサブスクリプション支援プラットフォーム

Zuoraのサブスクリプション支援プラットフォーム「Zuora Central Platform」

Zuora-Central-Platform

  • IT部門に頼らずにできるプライシング
  • サブスクリプション契約管理
  • レーティング(日割り計算や従量課金をリアルタイムにモニタリング)
  • グローバルレベルの決済(180以上の通貨、30以上のペイメントゲートウェイに対応)
  • サブスクリプション会計(監査に対応した決算処理の自動化)
  • サブスクリプション・メトリクス(リアルタイムKPI分析)

従来の損益計算書からサブスクリプション・エコノミー時代の損益計算書へ、と以下でZuora CEOが指南しているように、サブスクリプション・モデル採用企業向けのメトリクスに対応する必要があった。

従来の会計(および従来のERP)においては毎月の締め処理を行うまではサブスクリプションに必要な正しいKPIを把握できなかったが、Zuoraのサブスクリプション・メトリクスでは、請求、キャッシュ、売上などサブスクリプション・ビジネスに関わる重要業績指標をリアルタイムに把握可能

Zuora-Billing-RevPro

2つのフラグシップ・プロダクトは請求(Zuora Billing)、収益管理の自動化による決算処理のスピードアップ(Zuora RevPro)。

Zuora-CPQ_Collect_Insights

その他Add-onで、回収(Zuora Collect)、見積(Zuora CPQ)、レポート・分析(Zuora Insights)、そしてサードパーティによるマーケットプレイスなど。

もちろんERPやCRMとも連携可能でREST APIベースで他社システムとの連携もできる(SaaSでは当たり前のことではあるが)。

Zuoraは1つの統合プラットフォームではあるがオープンなので、独自のアプリケーションの開発も可能で、開発したアプリケーションをZuoraのマーケットプレイスに登録することができるなどエコシステムを形成。

サービス収入比率を高めることが重要な時代にサブスクリプション・モデルがしっくりくる

改めて「サブスクリプション・エコノミー時代の到来 ―所有する時代の終わり」の記事は、Zuoraを知る上では知っておくと良い情報をつめこんでいるので合わせて参考になるはずだ。

サブスクリプション・エコノミーとは? Subscription=継続課金 従来の売るまでを重視する商品売り切り型と違い、継続課金...

NetflixやSpotifyなどの定番のサブスクビジネス以外にもビールのサブスクなどいくつかのサブスクリプション事例集も上記で掲載しているが、家電・自動車メーカーが所有ではなく利用度合いに応じたサブスクリプション・モデルを提供したり、従来ではモノの売り切り型ビジネスだった企業が、継続課金ビジネスを採用することによって売った(契約した)後に顧客との長期的な関係を深めていくサブスクリプション・ビジネスの強さに手応えを感じている事例が多い。

アメリカ部もいくつも企業を紹介してきてつくづく感じるのは、強い企業はRecurring Revenue比率が高い。つまり繰り返し買われる消耗品や継続的に課金のされるストック型ビジネスの比率の高さが強さに直結している。

たとえば3年後に入金されるキャッシュがすでにほぼ確定しているような状況(あるいは解約率やアップセルなどコホート分析による予想)だと、長期的ビジョンに基づいて営業・マーケティングレバレッジの調整やR&Dなどのバランスをしやすい。

Appleやボーイングがサービス収入比率を引き上げようとしているのも、それがビジネスを安定させるからでもある。

Zuoraの顧客企業数はおよそ1000社程度と少ないが、ACV(Annual Contract Value:年間契約額)が10万ドル以上の企業数も多く、アップセルによって比率も高まっている。

Zuora-Customers

顧客の顔ぶれをみると、GMやキャタピラー、イルミナ、東芝などのサブスクリプションモデルのイメージがあまりない企業から、ゲームのためのサブスクリプション「GeForce Now」や仮想GPUをサブスクリプションで提供するNVIDIAや、1億人を超える継続課金サブスクライバー数を誇るHBO、そしてサブスクリプション・モデルといえばSaaSでしょうということで、ZendeskboxDocuSignMINDBODYNew RelicYextAppFolioAutodesk、HomeAway、Intuit、Marketo、OktaZillow(とTrulia)、Zoom、SendGridTripAdvisor、Trivago、MuleSoftなど。

やはりSaaS(Software as a Service)企業比率は高いようだ。従来のビジネスモデルをサブスクリプション・モデルに転換していく流れは未知数だが、SaaSの拡大がどこまでいくかはある程度予想されている。

SaaS企業で構成されるSaaS指数の上昇っぷりがはんぱない。 SaaSとは? SaaS: Software as a ...

Zuora-Pricing-Model

Zuora-Customers-Cohorts

Zuoraの株価

Zuora創業者のTien Tzuo現CEOはSaaSの先駆者的企業のセールスフォースの11人目の社員として2003年~2005年にかけて最初のCMO(最高マーケティング責任者)、2005年~2008年にかけてCSO(最高戦略責任者)を担い、2007年にZuoraを設立した。2018年4月に米国でIPO。

競合企業はSAP Hybris Billing, Oracle BRM, Aria Systems, goTransverse, BillingPlatformなど。

Zuoraの決算を時系列でまとめる

Zuora ’19 Q4決算> 2019/3/21
EPS(Non-GAAP) -$0.11 予想 =
売上 $64.1M (+28.6% Y/Y) 予想 +$1.25M
サブスク $46.7M (+35.4% Y/Y)

Zuora ’19 Q3決算> 2018/11/29
EPS -$0.10
売上 $61.64M (+33.0% Y/Y)
サブスク $44.5M (+43.5% Y/Y)

アップセルでドルベースのりテンションレート(既存顧客維持率)が115%に上昇。

Zuora Billingの利用が86億ドルに拡大(前年比+37%)
Zuora Billingは定額制サブスクリプション、ユニット単位、従量制、階層型など、あらゆる課金モデルに対応した請求ソリューション。

デロイト トーマツがZuoraと提携し、Zuoraを活用したコンサルティングサービスを開始。

<Q4ガイダンス>
売上 $62.3M~$63.3M
サブスクリプション $45.0M~$45.5M

Zuora ’19 Q2決算> 2018/8/30
EPS -$0.13 予想 +$0.03
売上 $57.75M (+46.5% Y/Y) 予想 +$3.63M

Zuora ’19 Q1決算> 2018/5/31
EPS -$0.32 予想 +$0.08
売上 $51.74M (+60.0% Y/Y) 予想 +$2.77M

サブスクリプション型ビジネスによる企業のデジタルトランスフォーメーション支援のために日本では電通・電通デジタルと提携している。

電通がZuoraおよびサブスクリプション・エコノミーをどう見ているかは以下の記事を見るとよくわかる。

サブスクリプション・エコノミーとは? Subscription=継続課金 従来の売るまでを重視する商品売り切り型と違い、継続課金...