オートデスク【ADSK】2D/3D CADで高シェア企業のサブスクリプションモデルへの転換

AUTODESK
Autodesk, Inc.【NASDAQ:ADSK】
オートデスクは製造・建設/インフラ・エンターテインメント業界の2D/3Dの統合CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアで高いシェアを占める企業。

設計者やデザイナーが、コンピューターで2D/3Dデザイン・設計、シミュレーションする際にオートデスクのソフトウェアが使われている。

サブスクリプションモデルへの移行が成功しつつあるオートデスク

オートデスクのソフトウェアは従来はパッケージによるライセンス買い取り型で販売してきたが、2014年からビジネスモデルを初期ライセンス料金のない月額・複数年契約のサブスクリプション型に変更しはじめ、2016年8月にはほぼ全ての製品のライセンス体系をサブスクリプションモデルに切り替えた。

Autodesk-Free-Cash-Flow-Projection

その影響で、サブスクリプション移行のためのプロモーション費用(移行を促す特別提供価格は2020会計年度には終了予定)や短期的に見ればコストが安価なサブスクリプションモデル移行に伴うライセンス収入の減少で、減収減益となっていた。

サブスクリプション移行の成功パターンに関してAdobeの例をアメリカ部では何度か取り上げているが参考にしていただきたい。

アドビ クリエイティブクラウド ARR推移
via サブスクリプション移行を成功させたアドビシステムズ

Adobeの例をみるとサブスクリプション移行にともない一時的に大きく売上が減少しているが、サブスクリプション収益ベースのARR(annual recurring revenue)=年間の定期的な収入が着々と積み上がることで収益が安定化している。

アドビシステムズ(Adobe Systems Inc)は1982年創業のフォトショップで有名なソフトウェア会社。 2005年に...

オートデスクのARRも着々と積み上がってきている。

2019会計年度では28-30%程度のAARの成長を同社は予想している。(2018/3/6決算にて)

Autodesk-Subscription-ARR

このARRの内訳はメンテナンス、サブスクリプション、クラウドサービスなどで、サブスクリプション移行に伴い販売終了した永久ライセンス保守プランのメンテナンス収益は減少していく。

Autodesk-Maintenance

サブスクリプション型の特徴として大型アップデートを嫌がる顧客やバージョン毎の人気次第での売上の変動を軽減し、ストックビジネス的にRecurring Revenue比率が高まり年間売上高の振れ幅が安定し予測可能性の高い経営になることが大きい。

顧客も大型アップデートは嫌がってもちょっとした機能改善などは速やかに行ってほしいという需要はあり、サブスクリプションモデルはそういった顧客の声に対応しながら常に最新であることが双方のメリットだ。

Autodesk-Recurring-Revenue

年間・複数年契約はもちろん、1ヶ月のサブスクリプションなども柔軟に用意されており必要な機能を必要な期間だけ利用することが可能なので、繁忙期にライセンス手配が突出するような企業には利用しやすくなる。

AUTODESK-Cloud-Subscriptions

ライセンス買い取り型パッケージソフトウェアは海賊版的な利用のされ方をすることが少なくなく、オートデスクは度々複製プログラムの販売被害にあってきた。

Microsoft製品やAdobe製品など同様の問題を抱えていたライセンス買い取り型ソフトウェア企業もサブスクリプションモデル移行でこの問題の多くを解消したように、これは正確なデータにはあらわれにくいサブスクリプションの恩恵だろうか。

創業のルーツであるAutoCADを中心とするオートデスクの製品

世界シェアNo.1の2DCAD AutoCADに加え、買収などによってCAD, CAE, CAMポートフォリオを拡張している。

AutoCAD
(オートデスクのAutoCAD)

建築設計、土木インフラ、建設業界向けの統合BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)/CIMツール

Revit
建築3次元CADソフトウェア
AutoCAD
汎用CADで2Dや3D図面を作成できる作図ツール
AutoCAD Civil 3D
土木工学設計・施工図のためのBIM/CIMをサポート
InfraWorks
土木インフラ計画・設計向けのBIMプラットフォーム

製造業界向けツール

AutoCAD
Inventor
3D機械設計、製品シミュレーションのツールが搭載された 3D CADソフトウェア
Autodesk Nastran In-CAD
線形静解析、固有値解析、非線形領域解析や熱・応答・座屈解析を行うことができる有限要素解析(FEA)ソフトウェア

オートデスクはCAE(Computer Aided Engineering)=コンピュータ上の試作品を用いてシミュレーションし分析する技術、つまり物理的な試作サイクルを不要にしコストを抑え市場投入スピードを早めるための設計用シミュレーション・ソフトウェアポートフォリオを拡充するために多くの買収を行ってきた。

2007年にプラッソテック(PlassoTech)、2008年にプラスチック射出成形ソフトのモールドフロー(Moldflow)、2009年にアルゴア(Algor Technologies)、2011年に数値流体力学(CFD)解析ソフトウエアのブルーリッジ・ニューメリックス(Blue Ridge Numerics)、2013年にファイアホール(Firehole)を買収し、構造解析、熱流体解析、樹脂流動解析などのシミュレーション製品を強化。

メディア・エンターテインメント業界向けツール

Maya
3D アニメーション、モデリング、シミュレーション、レンダリング用ソフトウェア
後述するAutodeskの3ds Maxのライバルだったが買収した。
3ds Max
3D モデリング、アニメーション、レンダリング、ビジュアライゼーション用のソフトウェア。

CG/映像などコンテンツ制作用の業界標準ツールとなっている。

機械学習と3Dプリンター時代へ対応

3Dプリンターによるアディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing:積層造形)は普及が進んでいる。

オートデスクも積層造形(アディティブマニュファクチャリング)のための設計ソフトウェア「Autodesk Netfabb」を提供している。

AUTODESK-UnderArmor

このUAのソールもオートデスクのCADソフトウェアを利用して作られたものだ。

さらにAutodesk Generative Design(ジェネレーティブ デザイン)という”与えた条件に合致した複数のパターンのデザイン・設計を機械学習で自動生成する“機能を搭載したCADをリリースし、積層造形のための設計ソフトウェアでも利用可能。

こういった機械学習の取り組みはAdobeも同様で、両社の動きは興味深い。

オートデスクの競合と業界動向

オートデスクの3D CAD市場周辺における競合企業は、自動車、航空宇宙、ロボティクスなど複雑かつハイエンドな3DエクスペリエンスのCATIAを提供するフランスのダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)や、PLMベンダーとして市場をリードするドイツのシーメンス(Siemens)、CAE最大手だがCAD市場への侵入は限られているアンシス(ANSYS)など。

ANSYS, Inc.【NASDAQ:ANSS】 ANSYS(アンシス)の解説と業績・決算のまとめ記事。 新商品の発売までの...

EDAツールのメンター・グラフィックスを買収しPLM事業と連携させたシーメンスを筆頭にオートデスクもEDAベンダーを買収していることもこの業界の注目の動きだ。

EDA(Electronic Design Automation;電子設計自動化ツール)は集積回路や電子機器など電気系の設計作業の自動化を支...

オートデスクの業績推移グラフ

(2018年度はTTM)

オートデスクの株価

1982年創業で、当時一般的ではなかったCADソフトウェア分野を、使いやすいAutoCADで開拓。

オートデスクの決算を時系列でまとめる

最新の決算情報や業績データは特設ページでまとめるようにしました。

Autodesk, Inc.(NASDAQ:ADSK)のビジネス近況、最新の業績・決算データなどを四半期ごとに追記していく記事。 ...

Autodesk ’19 Q1決算> 2018/5/24
EPS $0.06 予想 +$0.03
売上 $559.9M (+15.3% Y/Y) 予想 +$2.53M

Autodesk ’18 Q4決算> 2018/3/6
EPS -$0.09 予想 +$0.02
売上 $553.8M (+15.7% Y/Y) 予想 +$9.06M

Autodesk ’18 Q3決算> 2017/11/28
EPS -$0.12 予想 +$0.01
売上 $515.3M (+5.2% Y/Y) 予想 +$1.83M

全従業員の約13%にあたる1150人を削減。デジタル化を進めるなど事業の優先目標を達成しやすい組織編成にする。