EDAツール(電子設計自動化)のベンダーは3強で寡占

EDA(Electronic Design Automation;電子設計自動化ツール)は集積回路や電子機器など電気系の設計作業の自動化を支援・補助するためのソフトウェア・ハードウェアで、電気系のCAD/CAE/CAMのようなもので、シノプシス、ケイデンス、メンターの3社で寡占された業界である。

シノプシス(Synopsys, Inc.)は半導体設計からソフトウェア開発までの領域(Silicon to Software)をカバ...
ケイデンス・デザイン・システムズ(Cadence Design Systems Inc)は電子システムや半導体企業向けにEDAツール...

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とあるように半導体産業は国家戦略的にも重要な産業であり、その半導体チップを設計するツールを開発・販売するEDA業界や、半導体設計用IPベンダー大手であるARM(ソフトバンクが買収)も重要なポジションを築いている。

EDAは電子機器設計の構想から実装まで幅広い場面で利用されており、現在EDA産業で3強となっている企業は主に同業の企業買収で寡占的ポジションを築いた。

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EDA業界におけるBIG3ベンダー

1位 シノプシス(Synopsys)
業界首位を独走。論理合成ツールに強い。
2位 ケイデンス・デザイン・システムズ(Cadence Design Systems)
シミュレーションに強い。
3位 メンター・グラフィックス(Mentor Graphics)
電子回路基板設計ソリューション業界のマーケットリーダー。
ドイツのシーメンス(Siemens)が買収。
2008年にケイデンスがメンターに敵対的買収をしかけたが失敗している。

EDAツールとは半導体チップ設計を支援するもの

EDAツールの補助なしに電子機器の設計・製造は可能だが、EDAベンダーのEDAツールを使うことによって早く市場に製品を投入できるようになるメリットで、EDAベンダーのツールを使わなかったことも日本半導体の凋落原因の1つだと以下の記事では指摘されているが、これは中の人によると確かに自社EDAツールはあったが十分EDAベンダーのツールも取り入れていたし、敗因はそこじゃないという反論もあるが一説として紹介しておこう。

日本の大手半導体メーカーは自社内で開発した独自のEDAツールを持っていたこともあり、もっぱら自社のEDAツールを利用して製品開発を行なっていました。

自社のEDAツールに固執していた日本メーカーはEDA技術の急速な進歩に遅れを取り、またそれで設計したIPは汎用性を失うだけではなく、外部の優れたIPを簡単には利用できなくなるという、遅れた開発環境に取り残されていきました。
http://diamond.jp/articles/-/24446?page=2

機能設計 → 論理設計 → 回路設計 → レイアウト設計

機能設計 → 論理設計 → 回路設計 → レイアウト設計

*IP=intellectual propertyの略で、半導体の設計図のようなもの、IPの大手ベンダーはARMである。

EDAツールはスイッチングコストがあり、設計プロセスの変化に伴う専属のエンジニアの教育コストを考えると、なかなか大手3社の牙城を切り崩すのは難しそうだ。

何もないさら地に東京都全体の都市設計を2~3年でやることは不可能であるが、それに近いパターン設計を可能にするツールがメンターグラフィックスやシノプシス、ケイデンスなどが手掛けてきたEDA(Electronic Design Automation;電子設計自動化ツール)と言われるものだ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tsudakenji/20170903-00075327/

上記記事はシーメンスがなぜメンターを買収したのかの話が面白い。

2000年代に入り株式市場の機関投資家を中心として,「EDAベンダ大手は買収を通じて成長する戦略に注力しすぎている」との批判が相次ぎました.EDAベンダ大手の優秀な従業員がその職を辞してベンチャを起業し,その後,そのベンチャをEDAベンダ大手に売却して退社することが一般的になったことが背景にあります.これは大きなコスト負担です.であれば,「そういった起業家を組織にとどまらせて,社内で新しいツールを開発させる方がEDAベンダ大手にとってより有益ではないのか」との意見が続出しました.
http://www.kumikomi.net/archives/2009/08/4_eda_1.php

これもシノプシスとケイデンスの従業員給与が高い理由かもしれない。
給与に満足できなければベンチャーを起業して買収してもらった方がリターンが見込めるため。

米国の高給企業ランキング上位15社にEDAベンダーが2社入っている。

5位 ケイデンス・デザイン・システムズ
総報酬額中央値15万6702ドル
基本報酬額中央値14万1202ドル

15位 シノプシス
総報酬額中央値14万4800ドル
基本報酬額中央値13万ドル

*このランキングは米キャリアサイト「グラスドア」が各社の従業員から報告された給与情報に基づき(情報50件未満はランキングから除外)基本報酬と総報酬の中央値を算出したもの。

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