ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)- 日本の次世代スパコンのポスト「京」に搭載

Cadence Design Systems

ケイデンス・デザイン・システムズ(Cadence Design Systems Inc)は電子システムや半導体企業向けにEDAツール、半導体のIPを提供し、顧客が設計と開発のコストを削減し、製品を市場投入する時間の短縮を支援している。

市場分野はモバイル、IoT、クラウド、データセンター、航空宇宙・防衛、VR/AR、自動運転など大量の電子機器を搭載し高度化していく自動車産業、などと高い成長が見込まれる分野に重点を置いており、これらの技術トレンドの熱狂から電子設計の重要性が注目されており、その電子設計のイノベーションで世界をリードするEDAベンダー3強のうち1社がケイデンスである。

EDA(電子設計自動化)については以下の記事で解説した。

EDA(Electronic Design Automation;電子設計自動化ツール)は集積回路や電子機器など電気系の設計作業の自動化を支...

ケイデンス・デザイン・システムズはEDA業界で2位のポジションにあり、粗利益が80~90%台の高いマージンのサブスクリプションソフトウェア企業

20年間で50社以上の買収を行い、基本的には買収が成長戦略でもあり3社の寡占状態のまま高いマージンを維持してきた。

最も年収の高い米企業ランキング2016年で5位につけており、優秀な人材が独立し、その企業を買収する羽目になるコスト(過去それが懸念となった)よりも高い給与で囲い込んだ方が良いという判断。

売上に占める比率でいえば顧客の60%は半導体企業で40%がシステム会社。

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EDAツールを主力としながら半導体IPコアにも力をいれている。

IPコア(Intellectual Property Core)とは、ソフトウェア開発における「ライブラリ」のようなもので、FPGA、IC、LSIなどの半導体を構成する既存開発製品の回路コンポーネントを再利用可能な形にまとめた設計図で、そのIPはチップに実装され、そのロイヤリティ収入を得るのがIPベンダーのビジネスモデル。

ARMのロイヤリティ収入
Source: ARMのビジネスモデル ビジネス+IT

IPベンダーとしてはソフトバンクが買収したARMが有名で、SoC(System-on-a-chip)の大半は社内外で調達されたIPから組み立てられている。

IPはチップ内にあるもの(IPがチップに実装される)で設計図を使った際のライセンス収入を得るビジネスモデルに対し、EDAツールはチップ設計を支援するものでプロジェクトベースかサブスクリプションベースでライセンス供与というモデルが主流。

ケイデンスは、EDAツールを主力としながら、IPベンダーとしても拡大するためのIP関連の買収も手がけている。

ケイデンスの過去の買収分野別リスト

この中でもIPベンダーのテンシリカ(Tensilica)の買収はシリコンIPにおいて首位のシノプシスを追撃するためでもあり、テンシリカのIPはARMのアプリケーションプロセッサのサブシステムとして利用されることが多いことからARMとの連携を深めるためとも言われている。

ケイデンス・デザイン・システムズの業績推移グラフ

*2017年は2017/10/2時点のTTM(直近12ヶ月のデータ)

こんな状態の2008年に同業のメンターを敵対的買収しようとしていたのだからすごい。

同業シェア首位のシノプシスは2008年の金融危機でケイデンスと比べダメージは小さいし赤字転落もしていないので、比較するとケイデンスの長期ボラティリティは激しい。

日本の次世代スパコン「Post-K」にケイデンス社のツールが採用

日本の次世代スーパーコンピュータである京の後継機であるポスト京(Post-K)にケイデンス社製の回路エミュレーションツールPalladium Z1が採用される

ケイデンス社製の回路エミュレーションツールPalladium Z1
Source: ケイデンス社のPalladium(日経テクノロジー

ケイデンス株価チャート

2017年9月にS&P500に組み入れられる。やたら割高だがS&P500組み入れ銘柄は素直に研究したい。

EDA同業他社

シノプシス(SNPS)
Synopsys
EDA業界首位

メンター・グラフィックス
Mentor Graphics
グローバルの電気CAD市場でトップシェアに位置
独シーメンスに買収される。

記事の公平性のための情報開示: 筆者はCDNSの株式はまだ保有していないが検討ウォッチリストには入れている(2017/10/2時点)

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