Amazonトレジャートラックでインスタ映え×動く店舗×フラッシュセール


via Amazon Treasure Truck

すでにアメリカではオンラインで何か買おうと思った時に”Amazonで直接調べる”人が3割もいる。

この一番最初に思い浮かべるという重要な選択の「見えないマインドシェア」のシェア争いに一番積極的なのがAmazonだ。

米国で3割の消費者がオンラインで商品を買おうと思った時にファーストチョイスでAmazonを選ぶという調査がある。 Amaz...

Amazonトレジャー・トラックの全米展開を始めた

Amazonがお一人様1点限りの数量限定激安商品を搭載したトレジャートラックを全米に展開。

Amazonのアプリで注文・決済してトラックの運行ルートから受け取り可能地点を選んで受け取る。

これはAmazonの商品は「宅配」かAmazonロッカーで受け取るかの選択肢というプル型・受動型・待ちの購買導線だった従来とはまた違う、能動的で”消費者に動かせる”新しいチャレンジとなっている。

人々が必ずと言っていいほど肌身離さず持っているスマートフォンのアプリ(及びGPS)と移動販売は相性が良い。

Amazonはプッシュ通知も使用し、自分の近くにトラックが通る際にトレジャー・トラックに登録したAmazonアプリユーザーに搭載している本日限りの激安商品を通知してくる。

近くにトレジャートラックが通るなら買ってみようかというイベント発生型のリアル購買導線も構築している。

インスタ映えする広告塔としても機能するトレジャートラック

トラック自体がゴージャスなAmazonの広告塔となっている。

このトレジャートラックで買わなくとも、見かける度に、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという単純接触効果(ザイアンスの法則)が生まれ、ネットで何か買おうと思った時に一番最初に頭に浮かぶのがAmazonになってくれればAmazonの勝ちだ。

たとえばこれはペプシコ社の世界で最も売れているポテトチップス Lay’s を搭載したトラックだが、ペプシコと組んで商品のプロモーションも兼ねている。

広告塔としてのトラックの露出と、商品運搬と、商品を1点に絞ることによるPRタイアップと、買った消費者がアップするSNS映えのある写真の拡散効果と一石四鳥だ。

商品の種類をあえて絞ることで、商品のPRとしてサプライヤーと組みやすくなり、インスタ映えにつながるトラックのカスタムもしやすくなる。


Source: アプリマーケティング研究所

最近は、インスタグラム上で商品を買えるようにもなっているし、動画コマース/ライブコマースでシズル感のある売り方がブームになりつつある兆しもあり販売チャネルの多様化が進んでいる。

つまり、Amazonの見やすくシンプルなサイトに商品を大量に並べていれば安泰だった時代が続くかどうかは絶対ではないので、消費者との接点は出来る限り増やしたい。

というわけで、昔走っていた移動アイスクリーム屋が、日替わりで移動○○屋に変わって走っているようなものをさらにフラッシュセール要素・遭遇イベント要素・写真拡散PR要素と工夫して実験している。

トレジャートラックに廃れたフラッシュセールをみる

グルーポン(Groupon)を覚えているだろうか。

フラッシュセールとは、数時間と今しか買えない感で煽って商品を激安価格で販売するスタイルで昔流行ったサイトがいくつかあった。

しかし、廃れてしまった。実際トレジャートラックは2015年にテストしていたが一時休止期間があり、再び再開したものだ。

単純に期間限定のお得感だけでは顧客の注目を稼ぎ続けるのは難しいので、遭遇イベント感、ネットと違いリアルだからこその写真のSNS映えによる拡散力でどこまで人気が出るのか興味深い。

SNS映えという意味ではグルーポンはスカスカおせち事件でSNS映え(炎上)したわけだが。

このようにAmazonトレジャートラックも食品を扱うのでその点は気をつけたい。

ネットとリアルの間で、立地に縛られない強さ。

Amazonトレジャートラックはネットで完結しているわけでもなく、リアル店舗でもない。

不動である店舗に縛られず機動力のある販売チャネルのテストだ。

スウェーデン/中国のHimalafyが開発するモビーマート(Moby Mart)など移動する無人コンビニなんていうのもある。

Wheelys Moby Mart

Amazonはドローン物流網の開発に力をいれており、何かに固執せず、とにかくテストするベンチャーのような大企業なので、トレジャートラックが結局中止になることもあるかもしれないが、失敗を恐れず試し続けなければイノベーションによって破壊される側になりかねない。

将来無人自動トラックが実現されたら、たとえば以下の動画のようにトラック内をミニフルフィルメント化してドローンでベランダに届けることだって可能だし

Shotput Drone Deliveries

トレジャートラックが失敗したとしても、そのような失敗の中で生成される膨大な実験データ・特許を蓄積して先行するアマゾンは強いだろう。

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