ヤマト運輸vsアマゾンの一方、米国では玄関盗賊vsアマゾン: 宅配物の不在時問題解決策

日本ではネットで商品を注文した時に家を留守にしている不在時の宅配の再配達がデフォルトになっているが、その負担は運送会社にとっては大きい。

宅配のボトルネックの1つ、不在時問題への解決策の模索

日本と違って米国だと置き配(玄関前に配達物を置くこと)がスタンダードなのだが、その玄関先の商品の盗難(置き引き)も問題になっている。

このABCニュースの報道によるとアメリカ人の10%が宅配物の盗難被害にあっているという。

Porch Pirates(玄関盗賊)などという言葉があるくらいだ。

こういった状況は特にECサイト事業者にとってはこれは由々しき事態であり、これでは高額な商品を安心して買ってもらえない。

そのため、Amazonは外出先でも玄関前の状況が確認できるスマートドアベルや、スマホで解錠・施錠できるスマートロックと連動し配達員向けのワンタイム・キーを発行し外出先からスマホで一時的に玄関の鍵を解錠できるAmazon Keyや、

あるいは、玄関に入れるのはちょっと…という層向けのAmazon Keyの追加機能として、車のトランクの一時解錠キーを外出先からスマホで発行し、車のトランクを配送先に指定し不在時にも荷物のセキュリティを確保できるシステムなどを始めている。

AmazonがスマートドアベルのRingを買収したのも、いかにセキュアに宅配を実現するかという観点での取り組みの一環とその人材の確保。家の頭脳にならんとするAlexaエコシステム形成といった視点もあるだろうか。

スマホで解錠・施錠できるスマートロックはスマートドアベルや監視IPカメラなど複数のセキュリティソリューションと合わせて普及していきそうだ。

Alarm.com Holdings, Inc.【NASDAQ:ALRM】 アラーム・ドットコム・ホールディングス(Alarm.c...

Amazon以外の取り組みとしては、GoogleもNestブランドでスマートドアベルを販売

実際のところカメラがあれば確実に防犯できるかといったらそんなことはなく、ある程度抑止にはなるものの根本的な解決策にはなっていない。

防犯を考えると、(配達員を信頼すれば)ワンタイム・スマートキーで玄関内、あるいは自分でピックアップしにいく近場の拠点を増やしていくという方向性。

Amazonは2011年からAmazonロッカーを増やし、自宅以外の受取先(Amazonの注文の配送先)も増やしている。

AmazonロッカーはAmazonの注文を受け取れるロッカーだが、アパートに設置できAmazon以外の宅配物も受け取ることができるAmazon Hubというサービスも始めている。屋内/屋外それぞれのバージョンで提供。

amazon-the-hub

ドイツの運送大手DHLも居住者向けロッカーシステム(Packstation)を提供している。

ウォルマート傘下のEC大手jet.comも2017年7月にスマートアクセス開発企業のLatchと組んでアパートの外部ドアに設置した入室権限管理・制御システムで配達業者のアクセスを許可し、住人が不在時でも配達物を外部からの盗難から防いでくれるというものだ。(追記: 運輸会社UPSもLatchと提携して同様のサービスをテストするようだ)

そんなウォルマートは玄関内どころか自宅の冷蔵庫に直接届けるサービスを始めるとか…生鮮食品の宅配コストの高さは温度管理。Google Expressが生鮮食品の宅配から撤退したのもコスト面で厳しくスケールできなかったため。

一部のミールキットでは独自の保冷ボックスを運用していたり、日本でも高機能保冷剤「アイスバッテリー」みたいな保冷ボックスのコスト削減の取り組みがあったりして、どこが最高の保冷ソリューションを開拓できるのか注目される。

ここで重要になるのは、一時的に有効になるだけのキーとはいえ配達員を玄関内にまで入れることを許可するクリティカルな制御・監視システムを導入するほど信頼されている企業か?という点でもあり、その点AmazonやGoogleは比較的信頼されている方かもしれない。

これらの企業の玄関の中にいれるシステムを信頼するか?これらの企業の監視カメラを許容するか?という質問ではないものの、そこそこAmazonやGoogleに対する信頼感が高いように見える。

問題はその配達員が信頼できるかどうかでもあり、運送大手UPSFedExあるいはUSPS(米国郵便公社)が信頼されているかどうかなのだが。

FedExはずっとこの配達員の荷物ポイ投げ動画でいじられるのだ…!

結局のところ、米国家電量販店最大手ベストバイがなかなかAmazonにディスラプトされないのもEC(宅配)だと盗難リスクやずさんな宅配のされ方などの心配から高額な家電を買いづらいというところでもあり、ベストバイは保証を厚くし無制限のサポートを行うサブスク導入などリスク回避や安心感で差別化をはかろうとしている(ベストバイは買う前にレンタル可能で、気に入ったらレンタル費用分をある程度割引して買えるという仕組みも提供)。

一方で、どうせピックアップしなきゃならないなら、配送コストを顧客に還元しますよというウォルマートの作戦もピックアップ可能な実店舗ならではだ。

それどころかウォルマートはフェデックスと提携しウォルマート店舗内にFedEx集荷センターを誘致しており、ピックアップを積極的に推進している。(他社のEC注文のピックアップのついで買いが期待できる)

全体としては高額商品もECで買われるようになっているトレンドではある。

拡大するECではあるがAmazonなどEC事業者にとって配送コストはかなりのボトルネックで、日本でもAmazonの配送から佐川急便が離脱し、残ったヤマト運輸もネットを見ていても非常に信頼が厚く、ヤマト運輸 vs. Amazonの交渉バトル(結果的に料金を4割ほど値上げ)ではAmazonを叩く人たちの声が大きかったように思う。

ちなみにこのTweetの表現には反省している。インタビューの内容が殺伐としており、そのテンションで書いてしまった。もっとマイルドな表現ができるよう努力していきたい。

筆者は別にヤマト運輸に他意はなく、クロネコヤマトの宅急便の生みの親である小倉昌男氏の著書「小倉昌男経営学」を読んで以来ヤマト運輸に好感をもっているくらいで、単純な話、この驕り発言に脊髄反射的にフラグ感を感じただけだ。

そんなこんなで、運送会社に依存してバイイングパワーで買い叩くと「安くこき使いやがって」とトランプ大統領にすらバッシングされるAmazonなので、じゃあもう俺らがやるわと、自社による宅配サービスの展開も着々と進行している。小売の大企業はどの国も叩かれやすく、ウォルマートも以前は大バッシングされていたものだった。

Amazonが自前のエンドツーエンドの配送サービスを立ち上げたShipping with Amazon(SWA)の動きも気になる。

アマゾンは貨物ジェット40機(Prime Air)のリース契約から航空貨物ハブ(シンシナティ・ノーザンケンタッキー空港)、海運事業まで着々と物流力をあげてきている。

さて、取り留めのない記事になってきて申し訳ないが、玄関パイレーツがこれだけ多い米国だとドローン配送も不在時にはベランダなどに着陸できるような未来が理想的なのだろうか。

利便性向上と配送ドライバー不足問題を解決するドローン配送だが、規制も厚く、リスクは解決されたとは言えない。 それでも世界はドロ...

そういったドローンのアイデアや取り組みは上記記事で解説している。

結局のところロッカーが一番無難な解決策に見えるが、できる手段をすべて使っていくのがAmazonで、Amazon Keyが普及するのかどうかもウォッチしていきたい。

シェアする