iQOSの弱点を補うTEEPS(ティープス)をフィリップ・モリスが開発

フィリップ・モリスのRRPsプラットホーム

日本で昨年ヒットしたiQOSの勢いが止まりません

他人に配慮する日本の文化だから日本特有の普及の仕方をしたのかと思いきや、世界的にも同様の普及トレンドを描いており、iQOSの機能的特徴に需要がそもそもあったということなのかもしれません。

iQOSの世界での普及曲線

日本でシェアが7%を超えたiQOSの脅威

フィリップ・モリス2017年2月の決算カンファレンスコールによると、HeatStick(iQOS用タバコ)は生産キャパシティ限界まで量産しており、実際の需要は超過し続けている模様。

日本でのiQOSの普及2016

日本でのiQOS(ヒートスティック)のシェアは5%にまで上昇と急拡大。

このiQOS無双に黙っていられないのがiQOSの競合製品Ploom Techを手がける日本たばこ産業株式会社、つまりJTです。

iQOSのヒットの前にJTはアメスピを巨額買収してしまったことで戦略の見直しに手間取ったのかPloomTechの生産拡大にはかなり出遅れました。

それでもJTは2017年6月から東京でPloom Techの販売を開始し、2018年上期に全国販売するなど巻き返しに力を入れ始めています。

フィリップ・モリス、JTとくれば世界タバコ三大大手の残り、ブリティシュ・アメリカン・タバコ(BAT)も2016年12月に、同様の加熱式たばこ glo(グロー)の販売テストを仙台市で開始しています。

iQOSもPloomも電子タバコではなく蒸気タバコ

さて、このiQOSとPloom Techやgloはたばこベイパー(蒸気)というカテゴリで、ニコチンの入った液体を気化させる電子タバコとは違うものです。

電子タバコとはニコチンそのものを吸うタイプで実際のタバコ葉は使っていませんが、iQOSやPloom Techは実際にタバコ葉を使っています。

iQOSの弱点を補うもう1つのフィリップ・モリスの製品が登場

iQOSに対してのPloom Techの強みは吸いたい時に吸えたり(時間制限で優位)、まったく匂いがしないのは設計段階のコンセプトの違いです。

iQOSに差し込むヒートスティックは従来のタバコと変わらない見た目で消費者がスムーズに心理的に移行しやすいように配慮されています。

その代償としてスティック結合部からわずかながら独特の葉を蒸した(焼き芋のような)匂いがしてしまい、それが嫌でPloom Techを選ぶ人もいるかもしれません。

しかしフィリップ・モリスは従来のタバコからRRP(リスクを低減する可能性のある製品)に消費者を移行させるためにiQOSだけに頼っているわけではなく他に3つのデバイスが準備されています。

フィリップ・モリスのRRPsプラットホーム

このように従来のタバコから心理的に移行しやすいiQOSで足場を固めたら、従来のタバコからかけはなれることなどかまわず機能性を追求する慣れてきた消費者の受容拡大にに応えられるプラットホームがそこにある状態にする計画です。

加熱式タバコ(たばこベイパー)ではiQOSの兄弟となるTEEPS(ティープス)と、電子タバコではMESH(メッシュ)などより次世代感のある見た目の製品で攻めるようです。

すでにiQOSの成功から話題を喚起しやすく、消費者のマインドをつかんでいるので普及させやすいかもしれませんね。

たばこカプセル対決 Ploom Tech VS TEEPS

つまり、iQOSは従来のタバコにより近いヒートスティック(コンビニで買える)という強みに対しJTのPloom Techはたばこカプセル(主にネットで購入)という従来のタバコ感からやや遠いものであり、しかしそのPloom Techの無臭メリットもPMの次の手のTEEPSという製品がおそらくPloomと同様のポッド式加熱タバコ(たばこカプセル)と思われるのでiQOSが嫌でPloomに乗り換えるかもしれない潜在顧客に対し同様のカプセル製品のTEEPSをぶつけ、iQOSとTEEPSの日本柱でさらにたばこベイパー市場をドミナントしていく戦略もとれるということです。

実際は設備投資や株主還元もカツカツなので、現状成功しているiQOS中心の戦略に当面なると思われますので、JTとBATがどこまで食いつけるのか。

IQOSと違いカーボンチップを使ったヒートタバコで、遠目でみても従来のタバコのように見える見た目を重視したデザインなのでIQOSともまた違った層にうけそうだ。

*本記事はタバコを推奨する目的ではなく、投資分析のために書かれたものです。タバコは人体に有害のため推奨されるものではありません。

iQOSはリリースしたすべてのエリアで高いコンバージョンレートをたたきだしており
PMIのiQOSの世界的に高いコンバージョンレート

iQOSで技術提携しているアルトリア・グループは米国での認可がおりた場合、アメリカでのiQOSの普及にも期待ができるかもしれません。

また、TEEPSはIQOSと同じ製造プロセスを共有するのでサプライチェーンの効率も良い(どちらかが人気が陰っても無駄にならない)。

日本でのTEEPS登場はまだ先かもしれませんが、iQOSの独特の焼き芋臭が気になる人には朗報ですね。

付録:次世代デバイスのマイナーチェンジ

フィリップモリスのリスク軽減タバコのマーケティング戦略

2015年の資料であることから現在との違いが興味深い。

iQOSは本体が故障率が高いのがボトルネックだが、改良やiQOS2の登場でまた違った進化が見られるかもしれない。

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みんなの投資分析とコメント

  1. 匿名投資家 より:

    JTがPMIより高いシェアの国でiQOSを量産投入してシェアを先行者利益で奪うことができたらかなり大きいですね。

    ただ、記事にあるようにデバイスの故障率が高いのでスイッチングコストがあるようで無いかもしれないのと、メビウスの慣れた味やアメスピのオーガニック感などの武器がJTにはあり、”キレイな”CMを大量投下することにより広告費によってメディアを味方につけているのでまだ分かりませんね。