Momo【NASDAQ:MOMO】中国最大のマッチングアプリ×ライブストリーミングプラットフォーム

Momo

Momo Inc.【NASDAQ:MOMO】
Momo(陌陌)は中国のモバイルSNSプラットフォーム大手。

中国で爆発的に流行したライブストリーミングでも頭角を現し、さらに中国版TinderともいわれるマッチングアプリのTantan(探探)を買収し、中国最大のマッチングアプリ提供企業として成長している。

月間アクティブユーザー数は1億800万人(2018年6月時点)と利用者も多い。

Momoがライブストリーミングプラットフォーム企業に転生するまで

Momoは自社をモバイルSNSプラットフォームと定義しており、ライブストリーミング企業でもないし、出会い系プラットフォーム企業でもなく、モバイルで人と人がつながるプラットフォームという軸で消費者の変化を俊敏にとらえてサービスを投入していく姿勢。

それが事業構成のダイナミックな変化にもあらわれている。

このように2016年からライブストリーミング事業が主力になって以来、2018Q2決算時点ではその流れに特に変化は見られない。

Live video service(ライブストリーミング事業)は配信者とのレベニューシェアモデルで、コストの多くがライブストリーミング配信者との収益分配コスト。

Value-added service(付加価値サービス事業)は会員費とバーチャルギフト収入。

中国のライブストリーミングプラットフォーム企業を取り巻く環境

そもそもMomoのライブストリーミングとは何なのか?

Momo_live

ちょうど筆者がMomoの今の状況を確認するためにアクセスしたところこのような状況となっていた。なぜかオカリナを吹きはじめる美女配信者。

右のパネルにあるのはギフト(課金して買う)で、閲覧者がギフトをおくってそのリアクションを楽しむというビジネスモデルだ。配信者におくられたギフトのうち手数料分をいくらかいただくというレベニューシェアモデル。

にわかに理解しがたい現象だったが、モノの消費からコトの消費にうつっているように、自らがスポンサーになりたいユーザーがいるんでしょうな。あるいは、(自粛)。

同様の中国のライブストリーミング企業のYYの記事でも紹介しているが中国当局はかなり厳しくコンテンツを取り締まっているのでOUTなコンテンツは見つからなかった。(調査のためにチェックしたのであって決してそれを目的として巡回したわけではない。本当だ!)

問題はライブストリーミング(直播)事業の競合の多さで、すでに数百社が参入しているライブストリーミング戦国時代。

リスクは中国政府によるサイバースペースの健全化を目的とした規制で、すでに他社のライブストリーミングには一部番組に規制がかかった事例がある。

2017年には73ものライブストリーミングプラットフォームが中国当局によって閉鎖された。

参考: YY inc【YY】中国最大級のライブストリーミング・ソーシャルメディア

ライブストリーミング事業は競争も激しく、ライブストリーミング配信者に対するレベニューシェアコスト(収益分配比率)を引き下げるのは難しいだろう。

そういえば、ライブストリーミングの流行とともにライブコマース(動画コマース)のような販売チャネルの開拓も面白かったので過去に紹介している。

ライブコマース(Live Commerce)は分かりやすくいえば、従来のTVショッピングの双方向コミュニケーション型ネット版で、ネッ...

日本でも定着しつつあるYouTuberというジャンルだが、中国ではそのようなネットインフルエンサーは網紅(ワンホン)と呼ばれ、ライブストリームを通じて商品を紹介し、1年で1人で50億円もの売上を叩き出したネットセレブとして有名な張大奕(Zhang Dayi)など、2016年には特に爆発的にライブコマースが流行した。

そもそも、中国の動画配信プラットフォームでは、デジタルギフトの形で視聴者が「送金」することが珍しくなく、インフルエンサーが動画を配信することで生計をたてられる手段が構築されていた。
参考: ライブコマースを制する戦い: Amazonは撤退、伸びる中国、メルカリの野望。

中国最大のマッチングアプリ企業としてTantan買収で補強

もともとMomoは位置ベースのSNSサービス企業で、デーティング機能も提供していたが、参入して一気に花開いたライブストリーミング事業の躍進で存在感が小さくなっていた。

そんなマッチングアプリ・サービスもTantanの買収でより主力に返り咲く。

この買収は2018年5月に完了したようなので、2018Q2決算から反映されることでしょう。

そういえば、出会い系アプリといえば、Facebookがマッチングサービスを提供するということで世界最大のマッチングアプリ「Tinder」を提供しているマッチ・グループの株価が一瞬暴落していた(FB依存はそれほどでもないのでどうせすぐ回復するが)。

幸いFacebookは中国当局にはじかれているので、Tantanにとっての脅威とはなっていない。

Momo(陌陌)の業績推移グラフ

Momo(陌陌)の株価

ただただ中国当局の圧力が一番のリスク。

Momo(陌陌)の決算を時系列でまとめる

Momo ’18 Q4決算> 2019/3/11
EPS(Non-GAAP) $0.59(RMB4.05) 予想 +$0.07
売上 $559.1M (RMB3.8B +50% Y/Y) 予想 +$22.65M

Momo ’18 Q2決算> 2018/8/22
EPS $0.66 予想 +$0.05
売上 $494.27M (+58.3% Y/Y) 予想 +$14.5M

中国当局の規制リスクが相変わらず脅威。

Momo ’18 Q1決算> 2018/5/29
EPS $0.69 予想 +$0.19
売上 $435.13M (+64.1% Y/Y) 予想 +$38.85M

Momo ’17 Q4決算> 2018/3/7
EPS $0.53 予想 +$0.07
売上 $386.4M (+57.0% Y/Y) 予想 +$4.86M

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