Copart, Inc.【NASDAQ:CPRT】
コパートは主にジャンク車のオンラインオークションプラットフォーム企業。
1982年に米国カリフォルニアで創業。
オークションプラットフォーム「Copart.com」で年間200万台もの車両を販売し、サルベージ車両等の保管拠点として8000エーカー以上の土地を所有。
Salvage: 被救助財産
保険会社が保険金を支払った後、損失を軽減するために被災残存財産(事故車両など)に対する権利を持っており、コパートのようなサルベージ事業者に売却(または売却の委託)する。
コパートは数千の売り手と10万以上のバイヤー(解体業者、修理業者、サルベージバイヤー、中古車販売業者、ディーラー、個人)とをマッチングするオンライン中古車オークションプラットフォームを運営し、現在は11カ国200エリアで平均1日12万5000件の車両がアップされるほどの規模に成長。
最大の売り手は保険会社、最大の買い手は車両解体業者(部品取りをするために買う等)で、扱うサルベージ車両は自動車はもちろん、バイク、トラック、ボートまで扱う。
事故車両(全損車)を販売する保険会社との関係が重要で、災害発生時の大規模な引受可能な土地を所有するコパートは保険会社と長期的な信頼を築いており一般的なECよりもスイッチングコストの高いオンラインプラットフォームを運営している。
米国における売上高が82.4%で、英国、ドイツ、カナダ、ブラジル、アイルランド、フィンランド、スペイン、インド、UAE、オマーン、バーレーンなど海外比率も徐々に高めている。
コパートの買収による成長戦略
サルベージ車を保管するスペースとして、大都市圏に近接した土地を所有していることが重要で、買収によっても補強してきた。
アメリカ部で何度か紹介しているように、セメント会社、砂を扱う会社、塗料メーカー(シャーウィン・ウィリアムズ)、ネジを扱う会社(ファスナル)など重い割に単価が低い商品(ジャンク車)は輸送コストをどれだけ圧縮できるか(密度を高めるか)もポイントなので拠点数の多いコパートのような大手はプラットフォームのネットワーク効果と合わせて相乗効果がある。
コパートは大都市圏など人口が集中しているエリアに隣接した約200箇所のサルベージ車両保管拠点を所有。
また、大都市圏でなくとも、ハリケーンの多い地域に戦略的に配置された大規模な巨大「メガヤード」の取得・開発など、今後の災害に備えている。
こういったキャパシティが保険会社との関係を強固にしている。
ただ、コパートには強力なライバル企業であるサルベージ車オークションのIAA(KARオークション傘下)もいるため独占状態というわけでもない。
KARオークション傘下でスピンオフ予定のIAAはCopartと共にそれぞれサルベージ車オークションで市場シェア約40%ずつと複占している。
どちらも成長しているため、市場としては魅力がありそうだ。
IAAは海外比率は低く、米国市場を2社で支配しておりキャパシティの観点から参入障壁は高く、米国以外に足場を築きつつあるコパートに対しIAAの海外戦略がどのようなものになっていくのかも注目だ。
Copartの最新の四半期業績データ
Copart決算まとめ
✓ 主にサルベージ車両のオンラインオークションで米国市場シェア複占
✓ 世界金融危機時でも売上高-5%程度と比較的安定
✓ ハリケーン・ハービーの際はコスト圧迫https://t.co/pKTOVbTZrX
— 米国株 決算マン (@KessanMan) 2019年5月23日
車両販売者からPIP(Percentage Incentive Program)と呼ばれる販売価格のパーセンテージ手数料または固定手数料、車両購入者から支払われる手数料、 車両牽引や保管などのサービス料金収入が中心。
英国では、保険会社の代行で、場合によっては保険会社から完全にサルベージ車をコパートが買い取って、コパート自身が車両を再販しているが、全体としてはプラットフォーム運営企業。
コパートのプラットフォームにおけるオークション車両検索結果はそこそこ問題なさそうな車両から見た目がえげつなく破損した車まで。
ここまでひどい状態のジャンク車も少なくないが、解体業者は部品取りするために買っていく。
損傷が少ない車両は中古車ディーラーが買っていく。つまり車両の状態に応じて幅広い買い手ネットワークを形成したプラットフォームを運営しているわけだ。
ちなみに保険会社だけでなく、個人でもコパートに電話一本で代理店がここまでひどい状態になったジャンク車でも現金で買い取りに来てくれる。
また、コパートのオンラインプラットフォームは無料会員は1000ドルまでしか入札できない。
プレミア会員になると一度に複数の車両に入札できるようになり検索範囲も制限がなくなり、入札可能限度額も引き上げられる。
プレミア会員の費用は初期登録費用200ドルで400ドルのデポジット(解約時払い戻し)が必要。
自動運転車になって事故のない社会になったらただの中古車オンラインオークションになって競争過多でビジネスが縮小しそうだが、実際は世界から自然災害を取り除くことはできない。
ハリケーン被害など瞬間的な需要のスパイクを吸収可能なキャパシティ、ロジスティクス、人材ネットワークを有す。
英国は2007年に買収により参入後、連続的な買収で規模を拡大。規模は力なり。
1997年にオンラインプラットフォームを稼働させている。
金融危機耐性もそれなりにある。
コパートの年次業績推移グラフ
金融危機時はそこそこダメージを受けたが比較的軽度な影響で済んでいる。
<コパートの株価>
地味な企業だが資金が過度に流入していた。
コパートの決算を時系列でまとめる
<Copart ’19 Q3決算> 2019/5/22
EPS(Non-GAAP) $0.66 予想 +$0.04
売上 $553.12M (+15.7% Y/Y) 予想 +$16.01M
<Copart ’19 Q1決算> 2018/11/20
EPS $0.47 予想 =
売上 $461.37M (+10.1% Y/Y) 予想 +$1.31M
<Copart ’18 Q4決算> 2018/9/19
EPS $0.42 予想 -$0.06
売上 $449.22M (+18.7% Y/Y) 予想 +$5.05M