Teladoc Health, Inc.【NYSE:TDOC】
テラドックは米国最大手のオンライン診療サービス提供企業。
オンライン診療(テラドックはバーチャルケアと呼んでいる)とは、スマートフォンアプリなどを通じて自宅にいながらビデオチャットで医師の診療を受けることができるサービス。
詳しくはオンライン診療の記事で解説している。
テラドックは米国のオンライン診療サービスでNo.1シェア
IPO時の資料なのでやや古いが最近の米国におけるテレヘルス(遠隔診療サービス)マーケットシェアは70%(診療件数ベース)と予想されている。
テラドックは米国オンライン診療サービスで最大手で会員数は2200万人以上、テラドックに登録している医師や有資格医療従事者は3100名で、登録者が医療に従事してきた平均年数は20年以上。
10分程度の待ち時間で、24時間365日テラドック登録医師から診療受診でき、アポイントをとって病院に行かなくても済むので後回しにしてしまいがちな診察を早期化し予防医療にも期待されている。
また、デジタルによる効率化によって従来の対面診療よりも割安でサービスを提供し、従来の診療がシンプルにサービス享受できるため利用も急激に伸びている。もちろん緊急性を伴わない症状に限定される。
テラドックを通じた初診で92%が問題が解決されたと報告し、顧客満足度は95%だという(同社調べ)
Teladocの最新の業績データ
テラドック決算<11/1>
Teladoc Health (NYSE:TDOC) Q3
EPS -$0.34 予想 +$0.02
売上 $110.96M (+61.6% Y/Y) 予想 +$1.02M米国最大手のオンライン診療サービスhttps://t.co/YGrf3NEbAs pic.twitter.com/4nkLHmpBNr
— 米国株 決算マン (@KessanMan) November 4, 2018
米国外事業および売上高がグンと上昇しているがこれは2018年6月4日にテラドックが同業アドバンス・メディカル(Advance Medical)を買収したため。
125カ国でサービスを展開するアドバンス・メディカルを買収したことでグローバルリーチが拡大している。
テラドックがアドバンスメディカルを買収したことでこれほどまでグローバルフットプリントのある競合が不在になり、またローカルな競合に対してもフルラインのサービス提供力で負けていない。
アドバンス・メディカル共同創業者「バーチャル・ケア・ソリューションは本質的に包括的であるべきだというテラドックの考えを共有」
この買収によって全従業員の3分の1が海外に拠点を置くような米国の多国籍企業のニーズを満たすことができ、たとえばテラドックの顧客であるエクソンモービルのようなグローバル企業が従業員に診療サービスを利用してもらう際にスケールの大きいテラドックは優位。
(2018年9月下旬からグローバル大企業と保険会社を対象にグローバルケア・プログラムを開始している)
- チャネルパートナーとして保険会社など
- グローバル企業からあらゆる企業とのB2B
- 米国最大級の薬局チェーンであるCVSの薬局店舗内簡易クリニックのMinuteClinicと提携したD2C(Direct-to-Consumer)
とマルチチャネルで包括的にサービスを提供。
では、テラドック導入に一体どのような利点があるのか?
ユナイテッドヘルスのような保険会社からするとコスト改善、病院からすると幅広く患者獲得、企業からすると従業員のエンゲージメントとROIを高める、という。なお、医師にとっても立地やその他条件に関わらず患者を安定的に獲得できる確実性が増す。
CVSとの提携はこのようにホワイトラベルでCVSブランドでラッピングされている。
CVSと競合する世界最大の薬局チェーンである米国ウォルグリーンがMDLiveなどと組んでプラットフォーム化(Find Care Now)を進めているのでこちらの対決も興味深い。
ただ、CVSは医療保険大手エトナを買収し、PBMも2011年に買収し米国3大PBMで、さらに米国最大の1000を超える店舗内簡易クリニックを展開している垂直統合のヘルスケアプロバイダーとなっているのでテラドックにとってCVSとの深い提携はOMO(オンライン・マージ・オフライン)のトレンドからしてもインパクトが大きいはず。
モバイル比率も上昇。2016年時点でTeladocアプリは60万ダウンロード以上を突破。
需要と供給のマッチングアルゴリズムにおいて、機械学習で待ち時間のさらなる削減に成功したという。
FY2019でキャッシュフローはプラ転するとテラドックは予想している。
<テラドックの株価>
グロース株は叩き売られている地合いなので注意したい。
テラドック・ヘルスの決算を時系列でまとめる
<Teladoc ’18 Q3決算> 2018/11/1
EPS -$0.34 予想 +$0.02
売上 $110.96M (+61.6% Y/Y) 予想 +$1.02M
売上高成長率は高いが買収寄与除くオーガニック売上高は+29%成長なので注意したい。
ただ、2014年~2018年にかけて年間平均売上高成長率が29%なので成長率が減速しているわけでもない。
<Teladoc補足資料>
2015年にBetterHelpをテラドックが買収している。
BetterHelpはうつ病や不安障害などの精神疾患に対して自分のスケジュールに合わせオンラインでセラピスト、認可カウンセラー、心理学者、精神科医にアクセスできるオンラインポータル。
BetterHelpに関しては世界最大レベルのリーチのあるYouTuberであるらしいPewDiePie(ピューディーパイ)がBetterHelpを叩いて騒動になっていたが、詳細は確認していない。あのあとどうなったのだろう。
テラドックを採用した企業の従業員エンゲージメントとROIを高めた例。