MSCI, Inc.【NYSE:MSCI】
MSCIは世界最大シェアの指数プロバイダー。
株価指数作成が主力事業で、2つ目の柱としてはポートフォリオ分析ツール・データ、その他ESG分析や不動産ベンチマーク提供。
MSCI指数のライセンスを受けたETFの数は業界1位で、運用担当者がグローバル株式ベンチマーク(世界各国市場のパフォーマンス相互比較)する際のマーケットリーダー。
主に指数(インデックス)やインデックスに関連付けられた投資商品に対する年間ライセンスによるサブスクリプション収入・手数料収入が柱。
MSCIのビジネスを分解: 伸び続けたMSCIの指数事業
MSCI決算 (NYSE:MSCI) Q2<8/2>
EPS $1.30 予想 +$0.02
売上 $363.05M (+14.9% Y/Y) 予想 +$6.93Mちと時間かかって恐縮
世界トップの指数算出会社。MSCI指数ベンチマークのETFなどに対する継続的なライセンス収入でインデックス投資ブームも追い風
MSCI決算データまとめhttps://t.co/ib2ryNoESd pic.twitter.com/Eij6QIos2w
— 米国株 決算マン (@KessanMan) August 7, 2018
MSCIのようにRecurring Revenue(サブスクのように安定的・継続的にはいってくる経常収益)比率が高いビジネスモデルはかねてから言及しているようにアメリカ部が最も推奨するタイプでもある。
個人でもインデックス投資家が増加しているように、パッシブ投資人気が続き、MSCI指数にリンクされたETFのAUM(Assets Under Management:運用資産残高)は積み上がる一方。株式市場が荒れるとさすがに下がるが(リーマンショックの時はMSCI指数リンクのETFのAUMは-38%だった)。
だいぶETFに流れてるな pic.twitter.com/X4m6OVMrh4
— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) August 7, 2017
上場している銘柄の減少に対してインデックスETFの数はうなぎのぼり。 pic.twitter.com/qX7dG5kvSC
— アメリカ部/米国株投資アンテナ (@america_kabu) 2017年8月24日
投資はインデックス投資・ETFでいいや、という人が増え続ける限りはMSCIのような指数プロバイダーには追い風。
<クライアント>
トップ100の資産運用会社のうち99
トップ100の年金基金のうち90
トップ100のグローバルバンクのうち83
トップ100のグローバルヘッジファンドのうち75
で、投資プロセスをサポートしリテンションレート(既存顧客維持率)は2013年から90%以上。
事業セグメントは インデックス、アナリティクス、その他(ESG、不動産)の3つ(4つ)。
MSCIの原点であり中核のインデックス事業
MSCI指数をベンチマークとした様々な金融商品(ETF、投資信託など)が販売されており、13.9兆ドル以上の資金(2017年12月時点)がMSCI指数をベンチマークして運用されている。
MSCI ACWIインデックス(MSCI All Country World Index)
MSCI World Index
MSCI Emerging Markets Index
MSCI Frontier Markets Index
とそれぞれの構成国分類は以下
各国のステータス(先進国、新興国、フロンティア)の市場分類の見直しは年1回で毎年6月に発表。
2018年4月時点の主なMSCIインデックスの構成・銘柄数は以下
ここにあるMSCIコクサイは日本で投資信託などに投資している人はよく見かけるはずだ。
スタンダード指数であるMSCIコクサイ指数は日本を除く先進国22カ国で1327銘柄採用(市場の約85%をカバー)。
またMSCIといえば指数メンテナンス(銘柄入れ替え)の時期によく話題にあがる。
銘柄入れ替え時期は重要なのは5月と11月のセミ・アニュアル・インデックス・レビュー(SAIR)
それを補完するのが2月と8月のクォータリー・インデックス・レビュー(QIR)
1968年に初めてグローバル株価指数を作成して以来、蓄積してきた連続的データと信頼・ブランドを簡単に覆すことは難しそうだ。
MSCIの2本目の柱であるアナリティクス
指数プロバイダーだったMSCIが事業領域を拡大したのは2004年にリスク分析ツールのBarraを買収しアナリティクス事業に進出して以来、2010年にリスク分析のRiskMetricsを買収するなど補強してきた。
主なプロダクトは
RiskMetrics RiskManager: VaR(バリュー・アット・リスク)シミュレーションの市場リーダー
BarraOne: マルチアセットクラスのリスク分析
など。
ESG(Environment、Social、Governance)指数とリサーチが伸びるその他部門
その他部門はESGと不動産(不動産パフォーマンス分析を提供する調査、リスク分析、ベンチマーキング)で構成。
ESG投資という言葉を耳にしたことがあるだろう。
ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の略で、企業の価値を測る材料として浮上してきたもの。
すでにMSCIは700を超えるESG指数を算出しておりESG指数およびESG分析におけるマーケットリーダー。
MSCI ESGリサーチの世界6500社以上のESGデータとESG格付け、およびESG指数はベンチマークに使われ、ESG指数をベンチマークとする運用資産額は580億ドルにふくれあがっている。
指数のリーディングプロバイダーであるMSCIの歴史
1969年にキャピタル・グループの100%子会社のグローバル資産運用会社Capital Group Internationalが株式インデックス「CIWI:キャピタル・インターナショナル・ワールド・インデックス」を開発しベンチマークとしてライセンス提供しはじめた。
当時は各国市場をグローバルに相互比較可能なデータ・ソースは存在していなかった(MSCI調べ)。
1986年にモルガン・スタンレーがCIWI指数の権利を買収しMSCIに改称(MSCI=Morgan Stanley Capital International/モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)。
1998年にモルガン・スタンレーが主要株主・キャピタルグループが少数株主という構成でMSCIが独立。
2004年にリスク分析ツールのBarraを買収
2007年にIPO(NYSE:MSCI)
2008年~2009年に主要株主のモルガン・スタンレーとキャピタル・グループが所有するすべてのMSCIの株式を売却。
2010年にリスク分析のRiskMetricsを買収
2012年に不動産パフォーマンス測定のIPDを買収
2014年にGovernance Holdingsを買収し既存のESG調査・ツールのプラットフォームを強化
グローバル市場ヒストリカルデータ、株式インデックスデータ、プライベート不動産ベンチマークデータ、リスクアルゴリズムとモデル、ESGデータなど、顧客の投資プロセスに貢献する広範なデータを蓄積しており、利益率の高まりをみるに比較的強い濠(Moat)がありそうだ。
ファクター指数やESG指数も好調。
MSCIの業績推移グラフ
2007年から10年間平均13%の売上高成長率。
配当は控えめだが増配の勢いもあり、自社株買いとあわせると十分な株主還元ができている。
MSCIの株価
MSCIの決算を時系列でまとめる
<MSCI ’18 Q3決算> 2018/1/31
EPS(Non-GAAP) $1.31 予想 +$0.01
売上 $361.7M (+8.0% Y/Y) 予想 +$1.21M
MSCI決算 (NYSE:MSCI) Q4
EPS(Non-GAAP) $1.31 予想 +$0.01
売上 $361.7M (+8.0% Y/Y) 予想 +$1.21Mインデックスブームの恩恵を受けてきた指数算出企業。
PDF: https://t.co/Au5uybKdy6 pic.twitter.com/ueehrUwSpw
— 米国株 決算マン (@KessanMan) January 31, 2019
<MSCI ’18 Q2決算> 2018/11/1
EPS $1.35 予想 +$0.06
売上 $357.93M (+11.1% Y/Y) 予想 -$1.97M
AUM $765.5B (MSCI指数リンクのETF) +13.5% Y/Y
MSCI決算 (NYSE:MSCI) Q3
EPS $1.35 予想 +$0.06
売上 $357.93M (+11.1% Y/Y) 予想 -$1.97M
AUM $765.5B (MSCI指数リンクのETF) +13.5% Y/Y株価指数算出でおなじみ。https://t.co/ib2ryNoESd
PDF: https://t.co/luNuHGi0sc pic.twitter.com/eOy6ZsauTw— 米国株 決算マン (@KessanMan) November 1, 2018
<MSCI ’18 Q2決算> 2018/8/2
EPS $1.30 予想 +$0.02
売上 $363.05M (+14.9% Y/Y) 予想 +$6.93M