米国スーパー最大手Kroger【NYSE:KR】の動きに見る米国小売業界の地殻変動

Kroger Co

全米最大のスーパーKroger(NYSE:KR)がAmazonとWalmartの頂上決戦に巻き込まれる形で必死に食らいついている様子をウォッチしているのだが、米国の小売業界の競争の激しさが伝わってくる…。

まず、Krogerは長らく同業スーパー買収などの従来通りの戦略を中心に既存店売上高を連続で伸ばしてきたのが2017年についに既存店売上高がマイナスに転じ、特にそのあたりから戦略がIT投資のさらなる加速化、最新トレンドはこれでもかというほどテスト、といった流れになっている。

アメリカのスーパーマーケット第1位かつ、チェーンストアでウォルマートについで2位のクローガーの株価が暴落していたので状況を整理してみた。...

以前↑のような記事を書いたのだが古くなってきたし、ここらで最新の情報をキャッチアップしておこうということでこの記事を書いた。決算ごとに更新する予定。

Krogerの四半期業績推移

米国最大のスーパーKrogerの必死なキャッチアップの軌跡

「キャッチアップ」という言葉には語弊があるかもしれない。

Krogerはいち早くスマホで注文し店舗でピックアップのClickListを推進してきたし、”遅れている”スーパーではない。

ただ、米国でのAmazonの脅威と、それに対応しIT投資をダイナミックに行っているWalmartの施策と比べると、やや後手感があった。実際Krogerの元コンサルタントももっとエンジンふかせよ!とまだまだ取り組みが後手で中途半端では飲み込まれてしまうと危機感を強めていた。

ということでTwitterで紹介した情報を中心に…

Kroger ShipというECを開始
35ドル以上の注文は送料無料。Krogerのプライベートブランド(KrogerはPB比率が30%程度と高い)を中心としている。

すでにECで食料品を買うことに抵抗感が徐々になくなってきているというデータがあり(特に若い人は)、Amazonもユーザーあたり売上高を上げるためにEC化にホワイトスペースのあった食料品・アパレルを強化中。

ClickListという入り口があるので、今まで店舗駐車場までいって車のトランクにピックアップしてもらっていた人が、宅配の選択肢も増えるといった導線設計になるのだろうか。

自動運転車による宅配テストを行う
Kroger Shipの注文で行うのかは不明だが、元Google(自動運転部門Waymo)出身のエンジニアが創業したNuroと提携しデリバリーを試験的に行う。

Nuroの自動運転車は人は乗せずに荷物だけを載せて運ぶのが特徴だが、無人のため州によっては認可が必要で認可された州でも速度制限があるので実際にどの程度受け入れられるのか興味深い。

ミールキット大手ホームシェフを買収。

ミールキット(そのレシピ用の食材セット)は競争過多で大変なビジネスとブルーエプロン上場時から指摘していたが、今や米国大手小売チェーンはほとんどが(ウォルマートすら)自前のミールキットを店頭で販売している。

KrogerもPrep+Paredという自社ブランドでミールキットを店舗で展開していたが、領域を拡大。

ミールキットのシェアはこんなかんじで推移しており、ブルーエプロンのシェアを他が奪ってきた状況。

アリババのTmall Global(越境EC)でKrogerのプライベートブランドを販売

前述のようにKrogerは自社のPB比率が高く、しかも製造から行っている垂直統合モデルだ。自らの店舗にとどまらないブランドに育てようとしているようだ。

英国のネット専業スーパーOcado(オカド)の株式5%と物流ライセンス技術を取得

Introducing the Ocado Smart Platform automated fulfilment solution (promo video)

EC用プラットフォームと物流システム運営技術(AI・ロボット・フルフィルメントセンター)の米国における独占権を取得し、それが前述のKroger Shipにもつながった。

Instacartと提携を拡大し1000店舗以上で利用可能に

Instacart(インスタカート)は宅配デリバリー代行サービス大手で、AmazonがWhole Foodsを買収して以来、危機を感じたスーパーからの提携が殺到し勢いづいている。

Krogerもその一員となってしまった。Instacartは強力なプラットフォーマーでもあるので、ブランドコントロールが難しい点で大手小売チェーンならば正直なところ避けたい提携だったろうが、結末が気になるところだ。

Walmartはスパーク・デリバリー、ターゲットは食料品デリバリーのシプトを5.5億ドルで買収と小売2強は自前の道を進んでいる。

などなど、このようにKrogerは倉庫ロボットやEC、デリバリー、ピックアップ、ミールキットに投資するなど対Amazon、対ウォルマートで全方位で必死にくらいついている感じで米国の小売頂上決戦の激しさが伝わってくる。

もちろん下からはAldi、Lidl(思ったようなスタートがきれなかったようだが)などのPB比率9割以上の省力ディスプレイの独自の売り方で攻めるスーパーが台頭、コストコも強いし、EC版コストコのBoxedまで伸びている、ダラーゼネラルなどダラーストアも信じられないほどの出店ペースで拡大、もちろんAmazonが買収したWhole foodsもAmazonとの統合が真に完了したあとの動きが気になる。

今後もじっくりと定点観測していきたい。

Kroger株価

Krogerの決算を時系列でまとめる

Kroger ’18 Q3決算> 2018/12/6
EPS $0.48 予想 +$0.05
売上 $27.67B (-0.3% Y/Y) 予想 =

小売全般そうだが輸送コスト上昇でマージン圧迫。

コンビニ事業を売却し、ホームシェフを買収・統合したインパクトは記載されていない。Kroger Shipを全ディビジョンに拡大。

ウォルグリーンとの提携によるプロトタイプをさらに拡大させている。(Krogerが買収したミールキット大手ホームシェフの商品をWalgreens一部プロトタイプ店舗で販売)

Kroger ’18 Q2決算> 2018/9/13
EPS $0.41 予想 +$0.04
売上 $27.87B (+1.0% Y/Y) 予想 -$100M

Kroger-2018Q2

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