AWS vs. Azure クラウドインフラを巡るマーケットシェア争い

クラウド成長率においてAWS(Amazon Web Services)がAzure(Microsoft Azure)におされて成長率が半分になってきてオワコンだ的な意見が拡散されており、決算を追っていると違和感があったのでグラフにしてみた。

成長率だけでみればAzure>AWSだが、規模が違う。

このグラフのとおり、それをいったら過去数年AWSの成長率はAzureの半分だったわけで、そもそもAzureよりはるかにAWSは規模が大きく先行し、この規模にも関わらず前年比40%以上成長していたということを評価するのが妥当なところ。

Azure(アジュール)のこの1年の前年比成長率が89%から76%になった一方でAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の前年比成長率が42%から46%に上昇している。

もちろん、ここまでの話であってAWSが今後も安泰かどうかなどはまったくわからない。

マイクロソフトも非常に優秀なサティア・ナデラCEOの指揮のもとすこぶる洗練された戦略の企業に進化して、AWSから遅れながらも適切な駒運びをしているため、非常にハイレベルな戦いでウォッチしていて面白い。

なお、設備投資はかさむもののAWSの営業利益率は上昇している。

AWS-Operating-Margin

AWSとAzureとGCP(Google Cloud Platform)の売上高推移は以下のようになる。

Azureも伸びてきたが、王者であるAWSの成長率がこの差のある規模で40%を下回らないので差がなかなか縮まらない。

AWSも無敵ではない。たとえばECでAmazonと競合するウォルマートがMicrosoftと5年間におよぶ戦略提携でAzureを中心としたMicrosoftのクラウドソリューションをIT基盤に採用したように、Amazonの脅威をうける企業はAWSではなくAzureを選びそうなものだ(要出典)。

プライベートクラウドで先行するAWSに対し、当初Azureはオンプレミス、自社構築のクラウド基盤とAzureを併存させるハイブリッド・クラウドに強みがあった。マルチクラウド環境の勢いもあり徐々にこのあたりの境界線はぼやけていきそうだ。

パブリッククラウドの市場シェアにおいてAWSとAzureだけで半分のシェアを占める。そして、2社が占有するシェアがさらに高まっている。

中国で中国当局によって米国勢を排他的に締め出した影響もありAlibaba Cloudが前年比90~100%の勢いで急成長しており、アジア圏だけでなく英国にも進出するという。

米国の中国締め出し戦略が実行されるならばファーウェイのようにAlibabaも米国影響圏では妨害にあう可能性がある。

Goldman Sachs資料によると、規模と成長率はこんな感じで、AWSの成長率よりAzureは成長しているが、AWSはこの規模で40%以上の成長をみせているのがすさまじい。

2018年4-6月期におけるプライベートクラウドも含めるシェアは以下のとおり。

2018年1-3月期における同クラウドインフラストラクチャのシェアでもAWSは高止まり。AzureはシェアをとっていっているがAWSからシェアを奪っているわけでもない。

2017年10-12月期におけるクラウドインフラ マーケットシェア(IaaS, PaaS, Hosted Private Cloud)を見るとAWSは高いシェアを維持。AzureやGoogleはそれ以外からシェアを奪う。

AWS単体でエンタープライズ・テクノロジービジネスで存在感が出てきている。SaaS買収していったら対Microsoftでエンタープライズ・テック領域においても脅威を与えることができそうなものだが。

米国防総省の軍事関連含むデータをクラウド移行・管理する100億ドル規模の巨額政府案件「JEDI」をAmazonとMicrosoftのどちらが受注するかどうか注目。

JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructureクラウドプロジェクト)はAmazonのロビー活動が仕上がった出来レースと批判されていた件で、Googleは降りると予想したがやっぱりという感じだ。

GoogleはAIの軍事利用について社内から反対運動がおこるくらいなのに国防総省の案件に取りにいける地合いではなかった。ましてや中国向けの検閲検索エンジンの開発を認めている状況で中国とやりあっている中の米国政府の心象は悪いだろうし受注確率は低かっただろう。

マイクロソフト社内からも反対の声があがっており、Microsoft ナデラCEOらトップが従業員向けにメッセージを発しており、ざっくりいえば別に全員賛成しろとは言ってないし希望しないなら異動してOKだからと受注に向けて地盤固めをしている。

Amazon ジェフ・ベゾスCEOも「大手企業が米軍に背を向けるのは間違いだ」と語っている。

<おまけ資料>

2017年9月12日には、これまでIBMとMicrosoftしか認められていなかった米国国防総省のセキュリティ要件Level5をAWSが満たした。

データ・セキュリティ特許で先行していたのはMicrosoftだがAmazonやGoogleもクラウド・データ・セキュリティ領域で特許取得が活発。

Googleクラウド(GCP)も比較したいところだがデータが足りなすぎてなんとも…

Googleクラウドはかなりの設備投資を行っているが、どの程度クラウド事業が伸びているのか分かりづらい。自信があればどんどんデータを開示してくるだろう。

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CIOにヒアリングしたIT投資動向(JPモルガン調査)によるとMicrosoftは最もホット。

ということで、AWS vs. Azureの成長率比較とクラウド動向のまとめの定点観測でした。また次の四半期でデータ更新する予定。

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みんなの投資分析とコメント

  1. 匿名投資家 より:

    個人としてはGoogleクラウドは15GBまでは無料で使えるので、画像・動画・様々な個人的に重要なデータをアップロードしている。

    ビジネス分野でのGoogleクラウドのシェアがAzureよりも低いのはなぜだろう?
    Googleが広告業という枠から脱せていないということの影響があるのだろうか?

  2. 匿名投資家 より:

    Googleは後発だしこんなものでしょう。また、Googleはすぐサービスをやめちゃうイメージが強いので
    シェア取れないので撤退しますみたいな流れを警戒して様子見されてるってのもあるんじゃないでしょうかね。
    あえてAWSとAzureではなくGCPをチョイスするのは…スタートアップなら分かるけど。
    あとエンタープライズ向けに最適化できる大人のMicrosoftに対して取引先としてGoogleは”俺の正しさ”とかこうあるべきものを押し付けてくる感じがします。
    (それはそれで素晴らしいし尊敬します)

  3. 匿名投資家 より:

    AzureならWindows無料とかやって欲しい。