エスティ ローダー【NYSE:EL】ラグジュアリー・ビューティーブランドの買収による成長戦略

Estee-Lauder

The Estée Lauder Companies Inc.【NYSE:EL】
エスティ ローダーはラグジュアリー・ビューティー分野でトップ企業の1社。

Estee-Lauder-Revenue-Mix

エスティ・ローダーは主に高級スキンケア、メイクアップなどの化粧品や、フレグランス、ヘアケアを中心としている。

Estee-Lauder-Average-Annual-Sales

米国、英国に次ぐ重要(成長)市場の中国で伸びており、特にアジアでは高級ブランド好きが多いようだ。

高級ブランド中心の買収とブランドの育成で成長してきたエスティ・ローダー

Estee-Lauder-Enriching-Brand-portfolio

エスティ ローダーは高級ブランドを買収してグローバルに育てる買収戦略によって成長してきた。

30ほどのプレステージブランドでTOM FORD(トム・フォード)や1999年に買収したJo Malone London(ジョー・マローン)などの高級香水も好調で、老舗のエスティーローダーやCLINIQUE(クリニーク)を中心に3つ目に重要なブランドにまで育った人気のM・A・CやBobbi Brown(ボビィ ブラウン)などの撮影向きアーティストブランドからToo Faced(トゥフェイス)のような大衆向けメイクブランドまで幅広い。

2014年~2016年の買収
Too Faced(トゥーフェイス)
14億5000万ドルとエスティローダー史上最大規模の買収。

大衆向けメークの成長ブランド「Too Faced」は過去3年の年平均成長率60%という成長スピードから買収額も大きくなったが、Too Facedは買収時点でインスタグラムのフォロワー数は730万人、この記事を執筆している2018年6月19日時点で1060万人のフォロワー数と人気は衰えていない。特にToo Facedのマスカラは後述する美容専門小売店のSEPHORA(セフォラ)でも人気No.1のブランドだった。

BECCA Cosmetics(ベッカ コスメティクス)
オーストラリアの化粧品メーカーでファンデーションがミレニアム世代に人気。

GLAMGLOW(グラムグロウ)
高級トリートメントマスク(泥パック)

高級フレグランス(香水)ではLE LABO(ルラボ)、By Kilian Perfumes(バイ・キリアン)、Frédéric Malle(フレデリック・マル)を買収。

Estee-Lauder-SEPHORA

化粧品業界は百貨店や単独店舗の来客数の減少トレンドで、エスティローダーもデジタルファーストを掲げオンライン販売を強化してきた。

それでも実際に試したいという顧客はもちろんいて、特に中価格帯のブランドではSEPHORA(LVMH傘下)やUlta beautyなどのセルフ形態型美容小売店(従来の百貨店の重たい接客がない)は伸びており、エスティーローダーなどの化粧品メーカーにとっても重要なチャネルになってきている。

そのため、SEPHORAでマスカラ人気No.1、ファンデーションは人気No.2、アイシャドウはNo.3と全体的に人気の急成長ブランドのToo Facedは前述したように2016年に買収し、おさえている。

Estee-Lauder-Multi-Channel-Retail

デジタルファーストでオンラインに注力するものの、百貨店やドラッグストアなど弱っているチャネルやトラベルリテール市場などこれまでのチャネルも、むしろオンライン時代だからこそオンラインの伸びを(つまりトータルで)最大化するためという視点でも重要になってくる。ブランドのリアル接触ポイントはファンの定着に有効な手段ではある。

また、オンラインでも自社ECサイトへの誘引のためにもと中国ではAlibabaのT-Mall(Tモール)には出店している。ただし、Amazonでは(正規で)販売していない。理由はAlibabaと比べフォーマットの自由度が乏しいため「ブランド価値の毀損」というお決まりのやつだ。

YouTubeなどのネットサービスの視聴者の増加に対応し、エスティーローダーもインフルエンサー(YouTuberやInstagramなどで影響力が高い個人)に商品の使用方法などの動画を投稿してもらったりしている。オンライン販売を支える導線設計としては動画サイトやインスタは重要だ。

Estee-Lauder-MAC

エスティーローダーの3大ブランドであるM・A・Cの店舗はなかなかいけてる。

それにしても、10代~20代は新しいブランドへの抵抗がないので、SNS時代の追い風でどんどん新興ブランドが立ち上がっており、美容業界は各社買収に忙しい。

それでも臨床試験などをしっかり行い、グローバルにサスティナブルな成長体制を整えていくことに関しては大手化粧品メーカーはまだまだ強い。

もちろん、顔認識技術やAR、チャットBotなど新技術への取り組みも活発。

ビューティーブランドのトップ企業群の中でもエスティーローダーとロレアルは買収による成長戦略がしっかりしている。ユニリーバも最近ばんばんK-Beauty中心に買収している。

競合とのROIC比較。

資生堂の株価も新高値を更新していたが、こういった中国のJ-Beauty人気もある。

ライバルのロレアルの業績も良い。

ラグジュアリー化粧品の伸びが著しく、美容は飽くなきエンドコンテンツなのだ。

エスティ・ローダーの業績推移グラフ

エスティローダーの株価

1946年創業で、現在もローダー家が議決権ベースで支配している。

エスティローダーの決算を時系列でまとめる

Estée Lauder ’19 Q2決算> 2019/2/5
EPS(Non-GAAP) $1.74 予想 +$0.19
売上 $4.01B (+7.2% Y/Y) 予想 +$90M

Estée Lauder ’19 Q1決算> 2018/10/31
EPS $1.47 予想 +$0.25
売上 $3.52B (+7.6% Y/Y) 予想 +$50M

Estée Lauder ’18 Q4決算> 2018/8/20
EPS $0.61 予想 +$0.05
売上 $3.3B (+14.2% Y/Y) 予想 +$50M

M・A・Cにかなり力をいれているようだ。

Estée Lauder ’18 Q3決算> 2018/5/2
EPS $1.17 予想 +$0.10
売上 $3.37B (+17.8% Y/Y) 予想 +$120M

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