Apptioは2007年創業のTBMソリューション(IT投資・IT支出のコスト最適化・分析・プランニング)のためのSaaS企業。
TBM(Technology Business Management)はApptioがコンセプトを打ち出したカテゴリで、ApptioはTBMのカテゴリリーダーとして、ITの意思決定にビジネスマインドをもたらしIT支出の価値をはかるためのベストプラクティスを共有する非営利のTBM評議会を創設したほど(後述)。
オンプレミスからクラウドまで複雑に入り組んだハイブリッドIT支出を分析・最適化するソリューションをSaaSとして提供。
特にSaaSは爆発的に成長しており数も多く、チームレベルでの小規模な契約も含め更新管理も複雑になっている。計画的に評価し続けなければ支出は肥大化する一方で、そういったIT支出を可視化・価値評価できるプロダクトをApptioは提供している。
ApptioはTBMのリーディングカンパニー
- クラウドインフラ(IaaS)はAWS、Azure、GCP
- ERP(統合基幹業務システム)ならオラクル、SAP、Netsuite(Oracleが買収)
- サプライヤー管理(調達)ならクーパ・ソフトウェア、Ariba(SAPが買収)
- 企業業績管理ならAnaplan、アダプティブインサイツ(Workdayが買収)
- ITサービスマネジメントならサービスナウ
- CRMならセールスフォース
- マーケティングならアドビ(マルケトを買収)
- 人材管理ならワークデイ
といったようにそれぞれカテゴリリーダー企業がはっきりしているが、Apptioはこれら企業のITプロダクトの費用対効果を分析しビジネス視点でのIT投資の意思決定を支援し、ITをコストセンターではなくデータ駆動型の戦略ドライバーに転換させるTBM(Technology Business Management)というポジションを創出しリーダーに。
IT投資コスト・パフォーマンスなどの同業者とのベンチマークもできるのがApptioのプラットフォームとしてのネットワーク効果を高めている。
Apptioの業績推移と最新データ
アプティオ決算
Apptio (NASDAQ:APTI) Q3
EPS $0.05 予想 +$0.02
売上 $59.22M (+26.0% Y/Y) 予想 +$1.11M株価は時間外で-11%
IT投資・IT支出のコスト最適化・分析・プランニングのためのSaaS企業https://t.co/dmZXrIlGVqhttps://t.co/ucrJfGlclc pic.twitter.com/2p60Ug8s4L
— 米国株 決算マン (@KessanMan) October 30, 2018
サブスクリプション比率が83%まで上昇(Apptioの長期目標は88~90%としている)
サブスクリプションの契約期間は主に1年~3年の契約のため将来的な売上高の予測を立てやすい。
残りのプロフェッショナルサービスの売上高は、Apptioプロダクトの導入やトレーニングサービスなどで、SaaS企業のよくある売上高構成。
Apptioのプロフェッショナルサービスに関していえば、一般的な新規顧客に対するApptio導入のための期間は3〜5ヶ月かかるようだ。
Apptioは従来は年間IT支出が1億ドル以上の大企業をターゲットしてきたが2014年からは、より多くの顧客(Global 10000)にターゲットを拡げ、Suite方式(Apptioプラットフォーム丸ごと)ではなく、個別のプロダクトをグローバル10000企業にアプローチしはじめている。
そのためクロスセルによるアップサイドを拡大していくことも重要な戦略となっている。
GTM: Go-To-Market はSaaS企業のIR資料にほぼ確実に登場するので、改めて説明すると、一言でいえば市場開拓・参入・サービス投入戦略。
SaaS企業でGTM戦略が使われる場合は、顧客のニーズにフィットしたポジショニングを最適化しながら価値を提案していく営業・マーケティング戦略というニュアンス。
ApptioのGTMは、2008年~2014年においてはTBMというコンセプト(ITをコストセンターではなくビジネスのストラテジックセンターに)、カテゴリを開拓するフェーズ。
2017年にはCIO(Chief Information Officer: 企業のIT戦略などにおける最高責任者)、ITファイナンス、I&O(Infrastructure & Operations: ITオペレーションと運用)などそれぞれのトップ・現場に訴求するGTM戦略にシフト。
TBMというカテゴリを開拓したApptioは非営利のTBMカウンシルを2012年に設立。6000人以上のメンバーまで規模を拡大。
TBMカウンシルは、ITをコストセンターではなくより大きなビジネスの枠組み・洞察力で戦略的にITをマネジメントする、業界のベストプラクティスを促進する非営利団体。
元Apptioで現在はApptioが創設した非営利のTBM評議会理事のTodd Tucker氏が執筆した「Technology Business Management: The Four Value Conversations CIOs Must Have With Their Businesses」という書籍があるので興味がある方はチェックしてみてはいかがだろうか。
ApptioのIT支出の可視化プロダクトなどを導入してもらった後に、関連アプリケーションをクロスセルしていっている様子。
こういった「Land and Expand」はSaaS企業ならほぼどこでも取り入れている戦略。まずはいずれかのプロダクトを導入してもらい顧客との関係を(小さくとも)はじめて維持し、カスタマーサクセスによって関係を強化(アップセル・クロスセル)していくというもの。
ApptioのTAMの想定。グローバル10000とはいえ大企業中心で、導入にも数ヶ月かかるようなトレーニングが必要なプロダクトなので、いわゆるセルフサービス型SaaSとは真逆。
Apptioの年次業績推移グラフ
<グラフ調整中>
<アプティオの株価>
競合は、Apptioのパートナーでありながら、Apptioと競合するサービスであるServiceNow Financial Management(Cost Transparency, Financial Planning)を2015年にリリースしたエンタープライズ自動化ソリューションのServiceNow
サービスナウは競合も少なく大企業の重要なレイヤーをおさえて周辺領域に拡張しているSaaSの中でも収益効率性に優れた企業。
サービスナウはApptioを買収すればいいのにと思うが…時価総額も小さいし。
非常に強力な競合ではあるが、ApptioはTBMカウンシルというコミュニティを形成しており、CIOのマインドシェアをおさえている。
アプティオの決算を時系列でまとめる
<Apptio ’18 Q3決算> 2018/10/29
EPS $0.05 予想 +$0.02
売上 $59.22M (+26.0% Y/Y) 予想 +$1.11M
Apptioが買収したFittedCloudは機械学習・アルゴリズムの適用でクラウドリソースの分析と最適化するサービスで、FittedCloudのDynamic Resource Optimization(DRO)によりAWSインフラストラクチャのコストを最大50%削減するという。
<Apptio ’18 Q2決算> 2018/8/1
EPS $0.01 予想 +$0.02
売上 $59.05M (+30.6% Y/Y) 予想 +$3.38M
みんなの投資分析とコメント
いつも楽しく拝見しております
APTI買収で上場なくなりましたね
もしもマネックスなりで保有していたらどうなるんでしょうか?
いつも買収完了までには売却して別の銘柄にスイッチしているのですが忙しくてAPTIはうっかり放置してました。
受渡日 19/01/17
約定日 19/01/15
銘柄・摘要 APTI APPTIO INC CLASS A 一般
売付 数量85株 単価38.000US$
みたいな感じになってますね。ちゃんと買収アナウンス通りの単価で入金です。素直にクリスマスあたりにスイッチしておけばよかったですね! – 決算マン(アメリカ部)