アビオメッド【NASDAQ:ABMD】重症の心不全患者のための世界最小のカテーテル式の人工心臓「インペラ」

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ABIOMED, Inc.【NASDAQ:ABMD】
アビオメッドは心臓補助循環デバイスで急成長している医療機器メーカー。

アビオメッドの主力製品である補助循環用ポンプカテーテルIMPELLA(インペラ)は世界最小のハートポンプ

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IMPELLAは低侵襲性(経皮式で患者の身体的負担が少ない)のため緊急時に強みがある。

胸部切開が必要な人工心臓設置は心原性ショック時には心臓への負荷がボトルネックとなり難しかったが、低侵襲性のIMPELLAなら対応でき、重症の心疾患の早期対応を実現し心臓発作の生存率・その後のQOLの改善が期待される。

世界最小のハートポンプ「インペラ」はカテーテル式の人工心臓

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IMPELLAはカテーテル(血管などに挿入する細い中空の柔らかい管)の形状をした人工心臓/血液ポンプのようなもので、血行動態(血圧・血流速度・方向・脈拍数)を改善し、心臓のポンプ機能を補助・代行することで心筋を休ませるよう設計されており、心臓機能の回復を目的とした医療機器。

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2005年に買収したドイツのImpella CardioSystems AGのIMPELLAが現在のアビオメッドの主力製品となっている。

ドイツの医療機器メーカーだったことからIMPELLAの販売はドイツで先駆けて2004年から。また、米国でもFDAに承認され2008年から販売を開始。

アビオメッドは1981年創業以来、1990年代から体外式補助人工心臓(VAD)や2000年代から心臓を摘出して完全に電磁駆動の人工心臓に置き換え埋込む全置換型人工心臓のアビオコア(AbioCor)を開発していたがIMPELLAの買収以降は開発は止まっている。

米国の死因第1位は心臓病で、心不全の10人に1人が心原性ショックを起こし、そのうち50%の人が死に至る

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米国では1921年以来ずっと心臓病が第1位の死因で、3分の1を心不全と冠動脈疾患などの心臓病が占め、毎年90万人近くの死因になっている。

(日本でも年間約20万人の死因は心疾患で、そのうち約7万人の死因は心不全。)

約570万人もの心不全患者が存在する米国、2030年までに心不全患者数がさらに46%増加するという予想もある。

心不全の処置が遅れると多臓器不全を起こし放置すると心原性ショックにつながる。

心原性ショックとは主に心不全発症時・発症後に引き起こされ、心臓機能が低下し血液・酸素を送る能力を失う緊急処置を必要とする危険な病態(顔面蒼白になるので分かりやすい)で、心不全の10人に1人が心原性ショックを起こし、そのうち50%の人が死に至る(Source: NHLBI/米国国立心肺血液研究所)。

心疾患の初期治療は非常に重要。適切な初期対応の速さがその後の心機能や全身状態に大きく影響している。

重症の心不全や心原性ショック等による急性心不全では早急に心臓の働きを補い、臓器に十分な血液を送り出す必要があるが、従来の方式では負荷や手術時間の観点から、重症な心臓病患者の治療オプションには限りがあり、死亡率が高かった。

しかも、米国心臓協会(American Heart Association)の統計によれば、移植可能な心臓は米国では毎年約2000程度しかない。(また、公益社団法人日本臓器移植ネットワークによると、これでも米国は日本に比べてはるかに多い方だ)

アビオメッドのインペラは患者の負担が少なく、重症で緊急処置が必要な場面で強み

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アビオメッドのIMPELLA 補助循環用ポンプカテーテルは、切開が不可能など治療の選択肢が限られている重篤な心不全患者に対して短時間で低侵襲性の(経皮式で患者の身体的負担が従来より少ない)治療を行うことができる医療機器。

注意: 本記事は投資家向け資料をベースとした記事であり、Abiomed IR・決算情報をチェックするためのもので、医療情報を提供する目的で書かれたものではありません。

IMPELLAのサポートによってhemodynamic(ヘモダイナミック:血行動態)を安定させ、心筋の負担を緩和し、末梢臓器に血液潅流(血管を通して人為的に血液を流す)を提供し、その安定化サポートのおかげで患者に複雑な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を安全を行えるようにするなど、心臓機能を回復する機会を持たせることができる。

心臓ポンプ製品ラインのImpellaで治療を受けている患者は米国で5万人を突破しているが、急性心筋梗塞(AMI)患者は死亡率がかなり高いにも関わらずアビオメッドで治療を受けているのは10%未満の使用。

そして、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)症例のわずか1%のみでIMPELLAが使用されているものの、何万人もの患者は未治療のままだ。

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TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)ではメドトロニックや人工心臓弁で世界トップシェアのエドワーズライフサイエンス、ペースメーカー治療やステントでシェアの高いアボット・ラボラトリーズなど、大手ひしめく中、アビオメッドはIMPELLAで急成長中。

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様々な補助循環装置はあるが、たとえばIABP(大動脈バルーンポンピング)やPCPS(経皮的心肺補助装置)は逆行性送血の補助循環のため左心室に負荷がかかる問題点があり、一方で、順行性送血が可能な体外式/埋込式補助人工心臓は侵襲が高く(胸部切開の負荷)、心原性ショックに陥った緊急症例には対応困難という弱みがあった。

そういった背景の中で、低侵襲でありながら流量補助、順行性送血が可能なIMPELLAは画期的だった。

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アビオメッドがターゲットとする米国の市場機会は50億ドルあるといい、市場規模をふまえると米国食品医薬品局(FDA)のIMPELLA承認のインパクトは大きかった。

日本では経皮的血行動態補助の選択肢はこれまで限定的だったが、IMPELLAは日本で最初に医薬品医療機器総合機構による承認を受けた経皮的左心室補助循環デバイスとなった。

IMPELLAの具体的な動作解説: 羽根車/スクリューで血液を送り出す

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IMPELLA補助循環用ポンプカテーテルは、開胸手術(患部の切開)の必要がなく、経皮的・経血管的に約5mm程度の細く小さいカテーテル式の血液ポンプを体内に挿入し、心臓の大動脈弁を通して心臓の左心室内に挿入したカテーテル先端からポンプによって血液を吸引し、カテーテルを通して大動脈から血液を送り出すことにより、左心室内の圧を下げ、心臓の働き(順行性の血液体循環)を補助。

左心室とは?
心臓は4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)に分かれており、左心室は酸素で満たされた血液を全身に送り出す部屋。

インペラとは回転する羽根車を意味し、文字通りABIOMEDのIMPELLAは船のスクリューのように液体(血液)に遠心力を与え、小型モーター内蔵のポンプ内の羽根車を高速回転させることによって吸引・送血を行う装置。

ステント治療や人工心臓をつける前の処置として利用され、切開などの外科手術が不要で低侵襲性(身体への負担が小さい)、それによって緊急時に即応できることが強み。

また、付属のIMPELLA制御装置は、IMPELLA補助循環用ポンプカテーテルの制御と心腔内の留置位置の監視および流量制御を行う体外式の制御装置。

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淡々と売上を伸ばしているアビオメッド。

IMPELLA RPデバイスは右心内留置型ポンプ。心筋梗塞、心臓移植、心臓開胸手術後などに急性右心不全あるいは代償不全を発症した患者の治療を目的としたデバイスでFDAから承認。

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インペラは世界最小のハートポンプ(IMPELLA 2.5)で今後もさらに小型化を目指している。またさらなる低侵襲性を実現予定だ。

日本は世界で第2位の規模を誇る医療機器市場。世界でも普及余地はありそうだ。

アビオメッドの業績推移グラフ

キャッシュフローの力強い伸び、営業利益率・グロスマージンともに上昇傾向。

アビオメドの株価

株価は2017年から4倍に伸びており、期待が反映されているようだ。

売上成長率やフリーキャッシュフロー・マージンでみると今のマルチプルは高い期待でプレミアムがのっており、判断が分かれるところか。

なお、アビオメッドはイスラエル医療機器メーカーのMagenta Medical(マジェンタメディカル)に1500万ドルを投資している。

アビオメッドの決算を時系列でまとめる

ABIOMED ’18 Q4決算> 2018/5/3
EPS $0.80 予想 +$0.16
売上 $174.44M (+39.9% Y/Y) 予想 +$10.13M

ABIOMED ’18 Q3決算> 2018/2/1
EPS $0.70 予想 +$0.19
売上 $154.02M (+34.3% Y/Y) 予想 +$5.48M

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みんなの投資分析とコメント

  1. 匿名投資家 より:

    複雑なpciにおけるインペラの併用は日本では認められてません。米国FDAのpci併用時の認可資料ではIABPと死亡率に差がないことが示されています。また第三者委員会により効果が見込めないことから治験が途中で中止させられています。こねくり回してなんとか有意差を示して承認されてますが少し怪しいことが中々海外で承認が進まない背景だと思いますがどうでしょうか?フランスでは二年連続保険適応が却下されましたね