Dropbox【NASDAQ:DBX】ファイル共有・チームコラボレーション企業

Dropbox-Network-Effects

Dropbox, Inc.【NASDAQ:DBX】
ドロップボックスは2007年創業のファイル共有サービス企業。

Dropbox-Uses

オンラインストレージサービスとしてはGoogleドライブMicrosoft OneDrive、そしてBoxなど競争が激しい領域だ。

それでもここまでユーザー数が伸びている。無料プランを入り口にしたフリーミアムモデルはファイル共有によるネットワーク効果を生み出すプロモーション効果もあり、そうして増えた無料ユーザーの一部はもっと容量を増やしたい等と課金ユーザーに転換してくれる。

<Dropbox最新業績データ>

Dropbox-Cohort

コホートが優秀で、既存ユーザーがずっと使い続けてくれて、アップセルによって既存ユーザーからの売上も上昇しているというサブスクリプションビジネスとしては理想的状況。

2018年Q3(9月末)時点の有料課金ユーザー数は1270万人で、ARPU(有料ユーザーあたり平均売上高)もじわじわ上昇し上位プランの採用が増えているようだ。

Dropbox-Non-GAAP-Operating-Income

ユーザーの拡大に応じて売上も好調に推移し(売上成長率は減速している)、パブリッククラウドの利用をやめて自前のインフラに移行したことでコストをおさえ、フリーキャッシュフローも潤沢に生成できるようになっている。

Dropboxの戦略とは?

Dropbox-files-in-sync_to_teams-in-sync

「もうDropbox使わなくなった」というバックアップやオンラインストレージ用途の個人ユーザーの方がちらほらいる気がするが、ドロップボックスはチームコラボレーションにシフトしていた。

Dropboxはチームの作業ファイルすべてのホームとなる製品を提供することでコラボレーション効率を上げていくというもの。

これは早くから個人向けから法人向けにシフトし、法人向けファイル共有・コラボレーションでは先行するBOXと同様の傾向ではあるが、Dropboxの方が売上も大きく、フリーキャッシュフローを活かした次なる戦略が興味深い。

BOX, inc.【NYSE:BOX】 ボックスは企業向けクラウド・コンテンツ・マネジメント・プラットフォームの世界的リーディングカンパ...

Dropbox-Subscription-plans

個人向けプランを仕事用途で使っているユーザーも多いことからチーム向けプランにボトムアップで移行してくれるならARPUも底上げできそうだ。

Dropbox-exabyte

Dropboxは無料プランユーザーも含め世界180以上の国と地域で5億人以上のユーザー数

8割以上のユーザーが仕事用にDropboxを利用していることからファイル共有・コラボレーションのネットワーク効果は高い。

exabyte(エクサバイト)という聞き慣れない単位のデータ容量を超える大量のデータを管理している。

Dropbox-Open-Ecosystem

SaaSなど多くのサービスとAPIベース等で連携している。

特にCRMのトップ企業であるSalesforceとは戦略的提携を拡大し、その提携内容で興味深いのがSalesforceが買収していたコンテンツコラボレーションのQuipとデフォルトでファイルの双方向アクセスを可能とするもの。Quipはかなり伸びると思っているので今後が気になる。

Salesforce.com, inc.【NYSE:CRM】 セールスフォースは1999年の創立以来、従来のデスクトップCRM(顧客管理...

Salesforceの投資部門Salesforce Venturesは2014年にDropboxに出資しており、すでに提携関係ではあったが、さらにSalesforceはDropboxのIPO時に1億ドルの株式を第三者割当として取得するなど関係を深めている。

Dropbox-File-Synchronization-and-File-Collaboration

Quipとの提携といい、コンテンツコラボレーション市場の拡大に期待しているようだ。

コラボレーション領域ではSlackなんかもやたら伸びている。

コラボレーションツールのアトラシアン(NASDAQ:TEAM)もチームコラボレーションでは存在感がある。

Atlassian Corporation Plc【NASDAQ:TEAM】 アトラシアンは2002年にオーストラリアで創業されたコラボ...

Dropbox-Upsell

無料ユーザー数5億人に対し有料課金ユーザーが1150万人しかいないので、ビジネスコラボレーション領域での付加価値によって徐々にコンバートしていきたいというところだ。

GoogleドライブやMicrosoft OneDriveにクラウドからファイル・コラボレーションまで垂直統合的にロックインされたくない企業にとっては中立的立場でエコシステム形成しているDropboxやBOXは選択肢となるだろう。

Dropboxの業績推移グラフ

赤字ではあるものの、売上高成長率が27%でFCFマージンが高くSaaSの40%ルールを満たしているが、競争環境に注意。

これまで、セールスフォース、アドビ、サービスナウ、アトラシアン、ワークデイ、ゼンデスクなどの主要なSaaS企業を見てきたが、多くの企業が赤字...

Dropboxは赤字体質だったが、パブリッククラウドから自前のインフラに移行したことでコストを削減できたという。

Dropboxの株価

2018/03/23にIPO

Dropboxの決算を時系列でまとめる

Dropbox ’18 Q4決算> 2019/2/21
EPS(Non-GAAP) $0.10 予想 +$0.02
売上 $375.9M (+23.0% Y/Y) 予想 +$5.93M
FCFマージン 23.5%
課金ユーザー数 1270万人
ARPPU $119.61 / 前年$113.39 / Q3 $118.60

Dropbox ’18 Q3決算> 2018/11/7
EPS $0.11 予想 +$0.05
売上 $360.3M (+25.7% Y/Y) 予想 +$7.52M
FCFマージン 33.3% (前年同期は37.8%)

Dropbox ’18 Q2決算> 2018/8/9
EPS $0.11 予想 +$0.04
売上 $339.2M (+27.2% Y/Y) 予想 +$8.3M

有料ユーザー1190万人(前年同期990万人)
有料ユーザーあたり売上高は$116.66(前年同期は$111.19)

FCFマージンも改善されている内容だったが、COO辞任で株価は下落。

Dropbox ’18 Q1決算> 2018/5/10
EPS $0.08 予想 +$0.03
売上 $316.3M (+27.6% Y/Y) 予想 +$7.6M