ブラックベリー【BB】ソフトウェア・セキュリティ企業に完全転換

blackberry

BlackBerry Limited【NYSE:BB】
ブラックベリーはカナダのソフトウエア会社で、スマートフォンの元祖として栄華を極めた後、iPhone/Androidに大敗。ソフトウェア企業として立て直すため2013年に経営陣を刷新し、Research In Motion(RIM)からブラックベリーに社名変更。

BlackBerryという多機能携帯電話で高い市場占有率があったが、iPhoneの登場とAndroid OSの拡大と共にシェアを大幅に落とし2014年末時点で、BlackBerryの市場シェアは1%に激減(現在は0%台)。

iPhone登場当初はブラックベリーの当時のCEOは否定的な発言をしており、ブラックベリーよりもバッテリー寿命が短いことやキーボードがないこと、セキュリティが弱いと油断し、初動を完全に誤った。

ハードウェアで敗れたブラックベリーは幹部を入れ替え、2014年以降はエンタープライズソフトウェアとセキュリティへシフトし事業構造を大きく転換。

まずは現在のブラックベリー端末事業の状況を確認

ソフトウェアとセキュリティの会社になったとはいえ、BlackBerryブランドは捨ててはいない。

ただ、ブラックベリー自体による携帯端末の自社生産は打ち切り、現在は外部企業に委託するライセンス契約にシフトしている。

具体的にはインドでOptemius、インドネシアではBB Merah Putih、それ以外のエリアではTCL(Alcatel)の3社に独占的ライセンス契約。

BlackBerry-Key

OS自体もAndroidで、BlackBerryのセキュリティ要素を加えた「Secure Android」なBlackBerryブランド。

ソフトウェア企業へ完全転換したブラックベリー

ブラックベリー製品はホワイトハウスや米国議会、機密情報を扱う米政府機関はもちろん、全G10政府機関、G20のうち16の政府機関やセキュリティ当局に導入されており、信頼を築いてきた。

そしてソフトウェア企業として生まれ変わったブラックベリーは、その培ってきた「セキュリティ」をコアとして事業を組み立てなおしている。

BrackBerry-Vision

2013年からブラックベリーを立て直すために新CEOとなったJohn Chen(ジョン・チェン)CEOは、そのコア領域であるセキュリティを強化するために立て続けに買収を重ねてきた。

2014年には、盗聴対策の音声・データの暗号化で高い技術のあるドイツのモバイルセキュリティ会社Secusmart、2015年4月にはDropboxの法人版のようなクラウドストレージソリューションのWatchDox(後にBlackBerry Workspaces)、それにあわせアプリを個人用と企業用に領域分けして暗号化管理できるGood Technology、そして緊急時の通信、デバイスへの緊急通知、位置情報把握などのAtHoc、2016年にはサイバーセキュリティコンサルティングのEncriptionの買収。

一連の買収した技術を「BlackBerry Secure Platform」と1つのプラットフォームにまとめ、さらにEoTにフォーカスしたプラットフォームに進化させている。

BlackBerry-Secure-EoT-Platform

ブラックベリーがフォーカスするEoT(Enterprise of Things)とは企業やビジネスのIoT(Internet of Things:センサーやデバイスが通信し合う仕組み)で、2025年までに創出されるIoTの価値の70%がヘルスケア・物流・輸送・エネルギー・セキュリティなどのB2B(EoT)からと予想されている。

これをブラックベリーがEoTと呼び、戦略的にフォーカスし、セキュアな接続・管理を支援するビジョンをかかげている。

セキュリティで評価されるブラックベリー

サイバー攻撃が増加する一方で、

被害額も大きい。

サイバー攻撃による被害額は2021年までに2兆ドルを超えるとも6兆ドルを超えるとも予想されている。

BB-Strategy

ブラックベリーはセキュリティに強みがあったのでさらにそれを伸ばし買収を重ねてきた。

BB-Security-Leadership

ガートナーからも高い評価。

BB-Growing

EoTと車載OSのQNXが新たな成長ドライバーだ。

車載情報システムのQNXを中核とした次世代自動車時代への布石

ブラックベリーはセキュリティ企業の延長線上として、ハッキング脅威の増加が予想されるコネクテッドカー(ネットワークに接続された自動車)にセキュアなソフトウェアインフラストラクチャーを提供している。

ハーマン・インターナショナルから2010年にブラックベリーが買収した、主に車載用途に利用される組み込み型OSのQNX Software Systemsを「BlackBerry QNX」として成長ドライバーにしている。

QNXはざっくりいえば車にとってのOSのようなもので、もともとブラックベリーが買収する前からテレマティクスOS、インフォマティクス用でトップシェアだった。

自動運転車など次世代自動車への投資が急速に進む中でQNXは興味深いポジションにある。

たとえば、車の電子制御を担うECU(Electronic Control Unit)は無数にあるが、それらを統合していく上では、安全性が求められる機能とそれ以外の機能などが混在することになり、それらを容易に切り替えることができるハイパーバイザー(コンピュータを仮想化するためのソフトウェア)等を包括的に提供できる企業としてのQNXの存在感は大きい。

具体的な製品例だと

ハイパーバイザーを用いた仮想化により、特性の異なる複数のOSを独立化させ、1つのプロセッサで統合制御することにより、HMI製品同士の連携、協調が可能になり、必要な情報を適切なタイミングで適切な機器に表示できるようになる。

メータークラスターとインフォテイメントシステムを持つセンタークラスターを統合しつつ、それぞれ別個に動作させられる

など、まさにこれがQNXの特徴で次世代自動車に求められているソリューションの1つとなっている。

その他、デルファイが2019年に実用化を目指す完全統合型自動運転ソリューションCSLP向けのOSをブラックベリーと共同開発したり、米フォード・モーターと車載ソフトウエア開発で直接協力(Tier 1)したり。

ただ、このQNXの共同創業者がAppleに引き抜かれているのでAppleの動きには要注意か。

もともと自動車用OSにおいてAppleやGoogleは「自動車の頭脳をもっていかれる。自動車メーカーは下請け化される」などと一部で警戒されていた。

両社共に自動運転車にとって重要な地図情報システムを持っており、車載でも求められるアプリプラットフォームを展開しているため。

それに対抗してドイツ勢などが地図情報会社を共同買収するなど完全支配はされない道を選んでいる。

こういった状況にあるからこそブラックベリーのような独立的ポジションにある企業は協業するにはふさわしいという見方もできるし、そもそもほとんどの自動車メーカーはQNXと長い付き合いがあるのだ。

BB-UEM

UEM(Unified endpoint management)として、業界をリードする包括的なエンドポイント管理(幅広いデバイス、アプリケーション、コンテンツの統一された管理)を伸ばしていく方向性。

BB-EoT

そのUEMでEoT市場をとっていく目標。

ブラックベリーの業績と決算

BB-Revenue

利益率、フリーキャッシュフローの改善。

ハードウェア事業を脱却できたブラックベリー経営陣はすがすがしいといった口ぶりでソフトウェア事業の利益率の高さを喜んでいる。

ブラックベリーの業績推移グラフ

*2018年度は2017年12月時点のTTM

<ブラックベリーの株価>

5年チャートだとこんなもんだが長期チャートでみると栄枯盛衰の極み。

ソフトウェア企業に完全転換し黒字化したとはいえ、車載向けは競争も激しい。

面白いポジションについていても持続的な成長ができるかどうかはまた別で、投資難易度が高そう。

BlackBerryの決算を時系列でまとめる

<BlackBerry ’18 Q3決算> 2017/12/20
EPS $0.03 予想 +$0.03
売上 $235M (-21.9% Y/Y) 予想 +$19.58M

<BlackBerry ’18 Q2決算> 2017/9/28
EPS $0.05 予想 +0.05
売上 $249M (前年比 -29.3%) 予想 +29.09M

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